本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は今後加わるMicrosoft Teamsの新機能に注目した。
コロナ禍で必要に迫られたMicrosoft Teamsの強化
本稿は2021年9月下旬に執筆しているため、少々古い話になるが、2021年9月9日(現地時間、以下同)はMicrosoftにとって大きく舵(かじ)を切った日だった。同社は2021年10月4日からのオフィス再開を予定していたが、新型コロナウイルスの不確実性と公衆衛生上のガイダンスを考慮して、オフィス再開時期を定めないことを発表した。同社はグローバルで16万人の従業員と2万5000人の新入社員がリモートでつながる1年間を過ごしてきたが、90%が一体感を覚えているという(レポートはこちら。同社はコロナ禍によるリモートワークと必要に応じてオフィスに出向く「ハイブリッドワーク」を提唱しているが、今後もリモートワークを継続する可能性が高いことから、Microsoft Teamsを中心とした自社ソリューションの強化に取り組んでいるという。
複数人の会議などに用いるMicrosoft Teams Roomsは、新たにAI機能を搭載したアクティブカメラ&スピーカーが参加者の顔や動きを追従し、自動的にズームする機能や、他者映像の自動配置、登録済みユーザーのプロファイルを元に名前を自動表示する機能を追加する。当然ながら対応デバイスが欠かせないが、こちらの公式ブログによれば、JabraやNeat、Poly、Yealinkなどのカメラ&スピーカーで利用でき、Microsoft Teamsも今後1年間で対応する予定だ。
次の新機能はMicrosoft Teamsスピーカーコーチ。Microsoft 365 Appsに詳しい方なら、Microsoft PowerPointのプレゼンターコーチを連想されると思うが、今回“スピーカーコーチ”に統一された。公式ブログの説明によれば、会話速度の計測や他者との会話かぶり、レポート機能を用いた会議運用の俯瞰(ふかん)が可能になる。残念ながらPowerPointスピーカーコーチは日本語に対応していないが、ヘルプページを見ると、Web版の説明で日本語化されたレポート画像を確認できた。本稿執筆時点でWeb版PowerPointのPowerPointスピーカーコーチを使うには英語に切り替える必要があるものの、今後は日本語環境でも利用可能になりそうだ。なお、Microsoft Teamsスピーカーコーチは2022年初頭に利用可能になる。
面白いのはモバイル版Microsoft Teamsでコンテンツの共有を容易に実行するコンパニオンモードの拡張。PC&スマートフォン(以下、スマホ)両者とも同一のアカウントでサインインし、スマホをコンパニオンデバイスとして追加すると、スマホのカメラ映像や撮影画像、スマホの画面などをオンライン会議参加者と共有できる機能だ。今回新たにチャットやライブリアクション、Microsoftホワイトボードの共有に加えて、PCカメラのオン・オフ切り替えなどが行える。こちらは今後数ヵ月で利用可能になる予定だ。
今回は国内のMicrosoft Teams利用者に有用な機能に絞ったが、Microsoft Vivaなど他のソリューションに関心をお持ちの方は冒頭のリンク先や、発表会の動画を公開している公式ページを参照してほしい。

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