アプリなどのGUIそのものも保護対象に 法改正後の「画像意匠」の動向紹介(使いどころ、影響)
画面UIの意匠権取得での狙いやメリットとは
実際に登録された画面UIの意匠の紹介
(1)株式会社カカクコム
店舗の位置を示す地図とその店舗に関するメニュー等の情報とを組み合わせて表示する画面UIの意匠と、店舗の地図と注文した商品に関する情報とを組み合わせて表示する画面UIの意匠を取得しています。
2件とも、同社が提供する「食べログ」のスマートフォンアプリのUIに対応させて出願したものと考えられます。下図のリリース案内のように、リニューアル後のUIがこの画面UIの意匠に該当しそうです。
(2)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
昨今のリモートワークで使用されるような、オンライン上でのコミュニケーションツールについての画面UIの意匠です。円形状のエリア内のアバター間で会話可能にする際の表示についてのもの、自分は発言せずに相手の話を聞くだけの状態表示についてのもの、等全部で5件の画面UIの意匠権を取得しています。
以下に示すような、同社のオンラインワークスペースについてのプロダクトである「NeWork」のUIに対応させて出願したものと考えられます。
(3)株式会社エブリー
レシピ動画の検索、絞り込み等の処理に使用される操作・表示画面についての画面UIの意匠です。
以下に示すような、同社で提供している「DELISH KITCHEN」のレシピ動画を選択するUI、レシピのカテゴリを検索するUIに対応させたものであると思われます。
(4)株式会社TKC
企業の人事労務部門における、給与計算の処理に使用される操作・表示画面についての画面UIの意匠です。
同社では、会計事務所と地方公共団体の2つの分野に専門特化した情報サービスを展開しています。会計・税務・監査に関連する情報システムや、地方公共団体で使用される情報システムを提供しており、このUIに対応させて意匠権を取得しているものと思われます。
(5)清水建設株式会社
特定の場所に人を誘導するための表示画像であり、駅構内や公共施設等といった人が集まる施設の地面や床面等に投影して表示されるものです。
これに関連して、三菱電機株式会社では、下掲のような「新誘導システムてらすガイド」を、本件の意匠登録出願前である2020年2月に発表している。そのため、このような表示形態と差別化を図るために意匠登録出願をしたのでは、とも考えられます。
(6)株式会社三菱UFJ銀行
同社のインターネットバンキング等のメニュー画面で使用するためのアイコン用画像として、犬のキャラクタを意匠登録したものと思われます。ただし、このアイコン画像を使用している例は見受けられませんでした。
(7)公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
大阪万博の開催に関する協会による、上掲のキャラクタをソフト(アプリ)起動用のアイコン用画像として意匠登録したものと思われます。
例えば、大阪万博で、来場者向け(とは限らないかもしれませんが)アプリのアイコンとして使用することを想定しているのでは、と思われます。