最新パーツ性能チェック 第359回
人気ゲームタイトルのプレイ+録画/配信、動画編集/エンコード、RAW現像まで!
第12世代Coreはゲーム最強!? 12900K/12700K/12600Kのゲーミング&クリエイティブ性能を徹底検証
2021年11月26日 11時00分更新
ゲームプレイ中にOBS Studioで録画&配信した際の性能
第12世代Coreは単一アプリにおける処理性能ではなく、OSやバックグラウンドタスクを含めたシステム全体の処理性能の向上を狙って設計されている。直接そのアプリの快適さに影響しない些末な処理をEコアに散らすことで、Pコアを可能な限りフリーハンドにし、同時に処理するような状況でも並列で走っている処理に足をとられないためのハイブリッドデザインだ。
インテルは第12世代Coreをアピールする資料の中で、ゲームをプレイしている裏でゲーム画面の録画と配信を同時実行するようなシチュエーションについても言及している。少し前のCore Xシリーズだと“メガタスキング”なシチュエーションとして紹介されていたものだ。
インテルの資料から抜粋。Mount & Blade II: Bannerlordプレイ時のCore i9-12900KとCore i9-11900Kのフレームレートの差は19%程度だが、OBS Studioによる録画と配信を裏で走らせると、その差は84%にもなるという
では、実際にゲームの裏で「OBS Studio」を動かし、ローカルに録画しつつTwitchに配信した時に、ゲームのフレームレートがどう変動するか、そしてOBS側でのエンコードミスはどの程度発生するかを比較してみよう。特に後者は重要で、ゲームはプレイできていてもエンコードミスで正視に耐えないカクついた動画が残る(配信される)ようでは意味がないからだ。
今回の検証では、TwitchにはNVENC、6Mbpsで配信し、ローカル録画はx264(CPU)で15Mbps、medium設定とした。ゲーム側の解像度も録画・配信解像度もともにフルHDにした。OBSの主な設定を以下に示そう。
Twitch配信のための画質設定。プリセットはMax Quality、CBRで6Mbps設定とした。全部CPUに任せてもよかったが、筆者のネット環境だとあまり画質を上げても帯域不足になるし、画質が低ければCPUに任せるメリットはないので配信はNVENCに任せることにした
ローカル録画の設定。x264のhighプロファイル、medium設定でCBR 15Mbpsとしている。フルHDに15Mbpsはやや盛りすぎな気もするが、動きの激しいシーンでもなるべく美しく撮れるかもと期待してこの値にした。このエンコード処理は当然CPUに全部かかってくる
時間と体力の制約から、この検証はApex Legends、Rainbow Six Siege、Far Cry 6、DIRT 5、Mount & Blade II: Bannerlordの5本とした。OBS側で録画と配信をスタートさせてから、それぞれのゲーム側でフレームレートを測定する。画質設定や計測方法は前掲の検証と同一にしている。また、エンコードミス率はOBSの統計ウィンドウの値をそのまま引用している。
まずApex Legendsでは、OBS Studioの録画&配信をしない時と比較すると、第12世代CoreのMin(1%)が第4世代Ryzenと並ぶか、より大きくなる傾向が見られ、かつ平均フレームレートも第12世代Coreが優勢な印象となった。特に第11世代Coreとの比較では、平均フレームレートが20fps程度高くなっており、コア数が増えた恩恵がしっかり感じられる。
エンコードミス率に目を向けると、今回のテスト条件では物理8コア以下のCPUではエンコードミスが多発し、録画された動画も激しくコマ落ちする状況になった。一方で、従来のCore i5ブランドはゲーム+録画/配信は厳しそうだったのが、第12世代のCore i5ではエンコードミス率0%。つまり、ゲームの裏で録画も配信も同時に実行できる。これは大きな飛躍と言える。
Rainbow Six Siegeの場合、ゲーム単体では第4世代Ryzenどころか第11世代Coreにも後れを取っていた第12世代Coreだが、OBS Studioによる録画&配信が加わると様相が一変する。Core i9-12900Kはもちろん、Core i7-12700KでもRyzen 9 5950Xや5900Xより平均/最低フレームレートが高い値を出している。
さらに言えば、物理8コア以下の第11世代CoreやRyzen 5/7に関してはエンコードミスが頻発し、フレームレートは著しく下がっている。x264 medium設定だとCPUパワーをかなり消費するので、エンコード処理に手をとられてゲームの処理に影響が出ていることを示している。
Far Cry 6もRainbow Six Siegeと似た傾向だが、第12世代Coreは第4世代Ryzenに対しておよそ20〜40fps高い平均フレームレートを出している。特に、コア数も多くクロックも高いCore i9-12900Kの強さは圧倒的だ。
DIRT 5はOBS Studioの録画&配信を追加しても第12世代Coreが完全に有利にならなかったケースだ。平均/Min(1%)のフレームレートともに、第4世代Ryzenの上位モデルに大きな差をつけることはできていない。
だが、Ryzenの下位モデルや第11世代Coreに対しては大差を付けている。物理6コアないし8コアのRyzenではエンコードミス率が高く、プレイはできるもののゲーム画面のフレームレートが激しく低下している。第12世代Coreではコア数が増えたからと言えばそれまでだが、Core i5でもエンコードミスせず処理を終えた点を評価したい。
Mount & Blade II: Bannerlordでも、OBS Studioでの録画&配信を加えて高フレームレートを維持できたのは第12世代Coreだけだった。インテルの資料(前掲)にあった第11世代Coreよりもフレームレート84%アップという結果は確認できなかったが、そもそも第11世代CoreはどのCPUもまともにエンコードできていないので、フレームレートだけでパフォーマンスを比較するべきではない。ただし、エンコードミスについて見ると、このゲームベンチマークそのもののCPU負荷が極めて高いため、Core i5-12600Kでも35%ものエンコードミスを出してしまっているのは残念だ。
第4世代Ryzenでは下位モデルのフレームレートのほうが高くなっているが、これらのCPUではエンコードミス率が90%近くまで発生するため、エンコード処理に費やされる時間が低くなり、結果としてゲームのフレームレートを高くしているものと推察される。

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