最新パーツ性能チェック 第357回
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2021年11月04日 22時00分更新
DDR5メモリーやCPUクーラーについても要確認
【4】DDR5-4800動作には条件がある?
第12世代CoreではDDR4メモリーに加えてDDR5メモリーにも対応し、DDR4なら3200(単位はMHzまたはMT/sec)、DDR5なら4800に対応する。第11世代インテルCoreプロセッサー(以下、第11世代Core)ではDDR4-3200動作について“Gear 1/Gear 2”仕様があったが、第12世代CoreのDDR4は4枚挿しでもDDR4-3200となる。
注意したいのはDDR5メモリーの構成だ。インテルの資料によると、常にDDR5-4800で動くことが保証されるわけではなく、1SPC(1チャンネルあたりのスロット数)かつ1DPC(1チャンネルあたりのモジュール数)、つまりメモリースロット2本かつモジュール2枚挿しの場合は4800動作になると読める。また、メモリースロット4本すべて使った場合はDDR5-3600もしくは4000動作で、これはメモリーモジュールのランク次第となる。
今回はマザーボードメーカーよりテスト用マザーボードで動作確認のとれているKingston製DDR5-5200メモリーをお借りして検証したが、どの個体もXMPを有効化してDDR5-5200動作は達成できなかった(DDR5-4800用のXMPプロファイルでもPOSTで落ちる)。メモリーの設定をすべて「Auto」にすることで4本スロットのマザーボードかつ2枚挿しでDDR5-4800、4枚挿しだとDDR5-4000動作を確認した。
ただし、今後DDR5やBIOSの熟成で4枚挿しでもより高いクロックで動作する可能性も残されている。RyzenでもDDR4-3200動作にするには2枚挿しという制限があったが、有名メーカー製モジュールを使っていれば4枚でも普通に動いた点を合わせて考えると、今後の動向次第といったところだ。
また、今回検証したどのCPUでもメモリーまわりのクロックはデフォルトでGear 2、すなわちメモリーコントローラーのクロックがメモリークロックの半分になるモードで動作していた。BIOSでこれを1:1動作にすることもできるようだが、筆者が手にした環境では1:1ではまったく動作しなかった(POSTに失敗する)。こちらも今後の熟成待ちといったところだろう。
【5】TDPは125Wだが、最大ブースト維持のために241Wを維持することが求められる
第12世代CoreではCPUの消費電力や発熱量を考える際の指標が大きく変化している。まずTDP(Thermal Design Power)とPL1/PL2といった呼称は残っているが、第12世代CoreではTDPはPBP(Processor Base Power)へ、さらにPL2はMTP(Maximum Turbo Power)と言い換えるようになった。
まずPBPの意味するところはPL1と同じく、CPUのクロックがブーストされた時の消費電力(イメージとしては仕事量に近い)を示す。そして、PL2はこれまでごく短時間(長くて数秒、大抵は一瞬で終わる)だけPL1の限界を超えてブーストされる時の消費電力を示していたが、MTPに言い換えられた第12世代Coreでは、MTPは可能な限り持続するものと再定義された。
第12世代Core用のインテルZ690チップセット搭載マザーボードでは、CPU周辺の電源回路とそれを冷却するヒートシンクが巨大化しているが、これはCore i9-12900KのMTPが241Wと非常に高い値に設定されているためだ。
ここで我々のようなレビュアーを悩ませるのが、CPUのパワーリミット問題である。近年のインテル向けマザーボードでは、インテル推奨値にしているマザーボードも存在するものの、PL1/PL2の制限を事実上無制限とするセッティングが半ば慣例化している。
ASUS製マザーボードの場合、起動時にインテル推奨のパワーリミットに従うか、無視して無制限で動かす(とはいってもCPUの温度や電流などで制限はされる)かを選択できる。TDP=PL1にするのがこれまでの流儀だったが、この検証ではインテル推奨設定を使うことにした。
【6】CPUクーラーは買い替えか、LGA1700用のアタッチメントが必要
第12世代CoreではCPU形状が大きく変化しただけではなく、CPUクーラーをマザーボードに固定する穴の位置が数mm外側へ移動、さらにCPUソケットの高さも全体的に低くなった。そのため、既存のCPUクーラーとの互換性が完全になくなった。
すなわち、LGA1700対応を明記したCPUクーラーを新たに購入するか、既存のクーラーを利用する場合はLGA1700用のアダプター/リテンションキットを別途用意せねばならない。マザーボードによってはLGA1200モデルと同じ位置に穴が設けられているものもあるが、CPUソケットの高さが変わっているため、LGA1700用のアダプター/リテンションキットは絶対に必要になる。
前述のMTP 241Wという点も考慮すると、第12世代Coreをフル活用したいのであれば最低でもハイエンドの空冷モデル。可能ならば、簡易水冷(ラジエーターサイズは280mm以上、なるべく360mm)を用意しておこう。
【7】PCI Express 5.0(Gen 5)だが当面はおあずけ
第12世代CoreではCPU内部のPCI ExpressコントローラーがGen 5に対応し、ビデオカード向けの16レーンがGen 5でリンク可能になった。とはいえ、現時点ではGen 5世代のGPUは出ていない(最短でGeForce RTX 4000シリーズが対応するとのウワサがあるものの、真偽は不明)。今のところは規格を先取りした程度の認識でよいだろう。
また、M.2スロットに関してはGen 4までとなる。ただし、ビデオカード用の16レーンから分岐できるスロットにNVMe M.2 SSDが装着可能な拡張カードを挿せば、Gen 5世代のNVMe M.2 SSDを運用できるようになる。とはいえこれも肝心のSSDが出回っていないため、当面はおあずけだ。
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