あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第163回
アラフォーが選ぶ「一生モノのバイク」
Honda「CB1100 RS」は本田宗一郎のDNAを今に残す唯一無二のバイクだ
2021年11月06日 15時00分更新
2020年12月、東京都の小池百合子都知事が発表した「4輪は2030年、2輪は2035年以降、純ガソリンエンジン搭載車の販売を禁止する」という方針と、2024年以降に施行される新基準の排出ガス規制EURO 6。ガソリンエンジンの新車が手に入らなくなる前に、一生モノのバイクを探す当企画。次のネタを考えていたある日のこと。お世話になっているバイク店のショーウィンドウを見た瞬間、衝撃が走りました。
「CB1100 Final Edition」。また一つ、愛すべきバイクが世から消えてしまうという事実。これは乗るしかない! と試乗することにしました。価格はCB1100 EX Final Editionが136万2900円、CB1100 RS Final Editionが140万3600円(ともに税込)です。
本田宗一郎さんの理想は空冷マルチシリンダー
CB1100が誕生したのは2010年のこと。当時のプレスリリースによると「鷹揚(おうよう)」を開発のキーワードに、「味わいのある走り」「操ることの喜び」「所有することの喜び」を高い次元で具現化した、大人のロードスポーツとして誕生しました。現在はベーシックなCB1100のほか、クラシカルなスタイルの「CB1100 EX」、よりスポーツテイストを高めた「CB1100 RS」の3モデルがラインアップされています。今回お借りしたのはCB1100 RSで、どこかカフェレーサーというスタイリング。一言で言えばカッコイイ!
そんなCB1100の技術的キーポイントは、何といっても排気量1140ccのSC65E型空冷4ストローク4バルブDOHC直列4気筒エンジンでしょう。Hondaの創業者である本田宗一郎さんは、自動車量産メーカーとしてスタートを切った頃、シンプルで軽量、メンテナンスも容易な空冷エンジンこそが理想のクルマを作るのに欠かせない要素としていました。それゆえ乗用車はもちろんのこと、F1マシンも空冷式を採用しました。もちろんバイクも空冷式。
ですが、アメリカで厳しい排気ガス規制法案「マスキー法」が1970年に成立すると、本田宗一郎さんは千載一遇のチャンスとばかりに、低公害エンジンの開発に着手します。ですが空冷式では、冷却のコントロールが難しさゆえ、一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)の低減が困難。水冷エンジンでなければ打開できないとする若手エンジニアに対し、「水冷といえど結局最後は空気で冷やすんだからそれなら最初から空冷でいいに決まっている」とする本田宗一郎さんという社内対立が激化します。
そこで当時の副社長である藤澤武夫さんが本田宗一郎さんに「貴方は技術者なのか? それとも社長なのか?」を説得、本田宗一郎さんが折れてエンジニアリングの第一線から退くことに。これにより水冷式エンジンの開発が本格スタートし、2年後の1977年、マスキー法に対応した世界で初めてのエンジンCVCCが誕生、ベーシックカーの「CIVIC」に搭載し販売して大ヒットしたのは有名な話です。
CVCCの成功を見た本田宗一郎さんは1973年に社長を退任、藤澤さんも同時に副社長の職を辞しました。そして、2人とも会長や相談役にもならず、最高顧問という象徴的な肩書だけを受け取りました。宗一郎さんは名実ともに次世代に会社を託したのです。その後、Hondaから空冷式の自動車用エンジンは登場することはありませんでしたが、宗一郎さんが理想とする空冷エンジンは、バイクに引き継がれていきました。
宗一郎さんのエンジンに対するもうひとつの考えはマルチシリンダー化。エンジンストロークのショートストローク化と、1気筒当たりの動弁系を軽くすることで「多気筒=高回転高出力」を達成するという手法です。量産バイクで初めて4気筒エンジンを搭載したのもHondaですし、はては直列6気筒まで。
これらのことから、空冷4気筒エンジンは宗一郎さんの考える理想的エンジンといえそうです。この形式はその後、各社から出ましたが、その後の排出ガス規制などにより、各社は水冷式にシフト。ですがHondaのエンジニアたちは、困難な問題を解決し続け、世界で唯一となった空冷4気筒エンジンを今でも作り続けているのです。まさにPower of Dreamsです!
しかも、単なるノスタルジックなエンジンに仕上げないのがHondaのHondaたるゆえん。最高出力は90馬力、最大トルクは91N・mというスペックは、必要にして十分すぎるビッグパワー。教習車で知られる「CB400 SUPER FOUR」のほぼ2倍に匹敵します。
エンジンのフィンはもちろんのこと、4本のエキゾーストマニホールドは美しいの一言。その上にはオイルクーラーが配され、このエンジンが空油冷であることを物語ります。2本出しマフラーは、1番シリンダーと2番シリンダーのエキパイと、3番シリンダーと4番シリンダーのエキパイをそれぞれ集合させたもので、この2系統は完全に独立しているところもポイント。これについてはインプレッションのところで後ほど。
大柄なフレームは完全新規設計。前後18インチの大径タイヤと相まって「デカい!」という印象を強く与えます。面白いなぁと思ったのは、最初からセンタースタンドが設けられていたこと。オイル交換をはじめ、自分でメンテナンスをする場合にとても便利です。
ハンドルまわりは、ほかのCBシリーズを踏襲したもの。最初からグリップヒーターがついているので、冬はもちろん、雨の日もありがたいところです。
燃料タンクは16リットル。ガソリンはレギュラーでOKなのはおサイフに優しいところ。気になる燃費ですが、街乗りで結構回す感じ(3速で走行)の時にリッター12km程度、5速まで入れて走れば14km程度は可能のようでした。
RS専用装備としてタンクのHondaのロゴがブラックであること、シート、そしてサスペンションが異なるようです。全体的にワルという印象を与えます。それでは試乗してみることにしましょう。
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