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業界人の《ことば》から 第456回

弥生は財務会計ソフトだけの会社なのか

2021年10月25日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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(弥生の岡本浩一郎社長)

事業コンシェルジュのコンセプトを掲げた弥生

 新たな技術を取り入れながら、弥生の進化は続いている。

 だが、弥生の進化は、会計ソフトの進化だけではない。

 弥生は、「あなたの事業コンシェルジュへ」をメッセージとして打ち出しており、この1年は、会計ソフト以外の進化が目立つ。

 弥生が掲げる「事業コンシェルジュ」の実現に向けた取り組み領域は大きく2つだ。

あなたの事業コンシェルジュへ

 ひとつは、事業者や会計事務所の実務に寄り添った業務効率化を推進する「業務支援サービス」である。これは、事業の柱となる弥生シリーズと、2020年9月に開始した記帳代行支援サービスで構成する。

記帳代行支援サービス

 記帳代行支援サービスは、会計事務所の記帳代行業務を自動化、効率化するサービスで、会計事務所は領収書や預金通帳などの紙証憑をスキャンし、アップロードするだけで、自動仕訳された状態で「弥生会計 AE」にデータを取り込めるようになる。

 紙証憑を99.9%の精度でデータ化でき、平均納期は1営業日以内。顧問先の記帳代行業務を効率化することができる。2021年9月末時点で552の会計事務所に導入され、8977件の顧問先で利用しているという。

 会計事務所は、作業負担を減らすことで、顧問先への付加価値の提供や、新規顧問先開拓などに力を注ぐことができる。導入先からは、「コンサルティングなどの付加価値業務に集中できるようになった」という声があがっているという。

業務支援サービスと事業支援サービス

 もうひとつは、事業の立ち上げと発展の過程で生まれる事業課題を、的確な情報とパートナーをつなげることで解決し、支援する「事業支援サービス」である。

 岡本社長は、「起業から事業承継まで、小規模事業者の困りごとをトータルで支援するサービスであり、これまでに蓄積した事業者に関する知見とデータ、全国1万1000以上の弥生PAP会員の力を活かして、事業者のニーズに応えることができる。いままでにないサービスを提供することができる」と自信をみせる。

事業支援サービスの拡充

 第1弾として、2021年3月から、「起業・開業ナビ」を開始している。同社では、会社設立時に必要な書類作成や法人口座の開設、会社実印の作成などを支援する「弥生のかんたん会社設立」を提供していたが、これを大幅にリニューアルし、起業時に必要な手続きやモノ、サービス、情報を、ウェブ上で得ることができる起業支援ポータルサービスとして提供。起業後に必要な法人クレジットカードやPCなど、モノやサービス準備の支援を行う「起業・開業応援パック」、弥生が厳選した豊富な経験と実績のある税理士や会計事務所を紹介する「会計事務所紹介サービス」などで構成する。

 同社では、「起業時に発生する事務手続きや設備環境の準備などを効率化し、起業家がすぐに本業に集中できる環境づくりを目指す」としている。

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