楽天モバイルは22日、「エリア展開に関する説明会」と題したメディア向けのオンライン会見を開催。同社のモバイル事業参入からの経緯やエリア構築の現状について説明した。
基地局数は3万局を突破も
今夏予定だった人口カバー率96%は来年に
同社は2018年4月に、総務省から1.7GHz帯で4G周波数帯の割当を受け、ゼロからネットワークを構築する形で事業をスタートした。大規模な商用モバイルネットワークとしては、世界初となる完全仮想化システムが特長で、従来の基地局と比べると構成がシンプルで済み、コストや工期が短い点をアピールしている。
基地局数は9月末の時点で3万局を突破。来年早々には4万局という数字も見えてくるのではとしている。人口カバー率については今年前半までは「今夏に96%を実現する」と宣言していたが、「半導体供給の問題」で基地局に関する部品が不足、今年7月に「2021年内に」という表現に変更していた。しかし、今回の説明ではその部品が「年末くらいから到着予定」となり、「来年2月、3月をめどに」到達予定としている。
auネットワークへのローミングをこの秋大規模に停止
ユーザーからの問い合わせは前回よりは少ない
また、この秋の大きな出来事が、39都道府県でのauネットワークへのローミング停止だ。当初の楽天モバイルのサービスは、東京23区や名古屋市、大阪市など一部の地域を除いて、「パートナー回線エリア」と名づけられたau網に依存してきた。しかし、ユーザーがローミング接続でサービスを利用した際は、楽天からKDDIへの料金の支払いが発生するため、自社エリアの充実にともない順次停止を進めてきた。
このローミングのエリア切り替えは年2回、4月と10月のタイミングで行なわれているが、今回特に大規模に実施されたというわけだ。以前の切り替えと比べると20倍以上の規模で停波したため、ユーザーからの問い合わせはもちろんあったというが、その数は前回前々回よりは少ないと説明した。
なお、当初から自社回線でエリアを整備していた東京23区内でも、地下鉄のホーム、路線では大半でローミング接続を利用してきたが、10月以降、東京メトロの9割、都営地下鉄の6割のエリアで自社回線になっているなど、こちらでも切り替えが進んでいるという。
飲食店や小売店への小型基地局の設置を約400人のチームで推進
ここでも楽天グループの力を結集する
また、どうしても電波が届きにくい屋内についてはRakuten Casaと名付けられた小型基地局でのカバー化も進める。Rakuten Casaの専任チームとして約400人のスタッフが従事しており、飲食店や電子決済を利用する小売店などを中心に協力を求めている。
現在は東名阪を中心に1日あたり約300台のペースで増加しており、1万5000台が設置済み。年内にも3万台に達する予定だ。飲食店への働きかけでは楽天グループの資本提携先であるぐるなびの協力を得ているほか、今後は楽天市場や楽天トラベルなどの加盟店への設置も推進していく。