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Windows情報局ななふぉ出張所 第251回

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クレジットカードがあるのに「後払い」サービスを使う理由

2021年10月15日 16時00分更新

文● 山口健太

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後払いはクレジットカードを置き換えるか

 クレジットカードには独自の強みもあり、使える場所が多いこと、特に海外でも同じカードを使える利便性は突出しています。決済手段が国を超えるというのは容易ではありません。

 最近はスマホアプリを強化するカード会社も多く、アプリで利用制限をかけたり、支払いに使うと即座に通知が飛んできたりと、できる範囲で工夫を凝らしているのは分かります。

 一方で、同じカード番号を使い回しており、不正利用される恐れがあるといった基本的な弱点もあります。これに対して後払いサービスで面白いのが、1回限りのバーチャルカードを発行するタイプです。支払いのたびにカード番号を変えるというのはデジタルを前提にした発想といえます。

Klarnaでは使いたい金額を指定して1回限りのバーチャルカードを発行。買い物をすると手数料無料の4回払いになる

 与信にもテックが活用されています。クレカの与信といえば勤務先や年収などが重視され、筆者のような個人事業主は不利でした。しかしメルペイは「AI与信」にいち早く対応し、メルカリでの行動履歴などから柔軟な与信ができるとしています。

 これはいいことばかりではなく、海外では後払いサービスの延滞や貸倒の増加が問題になりつつあります。メルペイによれば、後払いの枠を30万円まで拡大した後もそうした問題は起きていないとのことですが、今後の利用拡大に伴って注視していきたい点です。

 このように後払いサービスはテックの存在を前提にした設計になっており、クレジットカードの弱点を補うばかりか市場シェアを奪い取る勢いがあり、そこに世界の投資マネーが集まっている印象です。「クレジットカード2.0」のような存在に成長するか、引き続き注目したいところです。

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