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仕事に差がつく!阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第31回

Microsoft 365に加わるオンライン動画編集アプリとは?

2021年10月15日 09時00分更新

文● 阿久津良和(Cactus) 編集●MOVIEW 清水

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 本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回はオンライン動画編集ツール企業の買収に注目した。

すべてのインフォメーションワーカーに必要な動画編集能力

 Microsoftは現地時間2021年9月7日、Clipchamp(クリップチャンプ)の買収を発表した。Clipchampは2013年にオーストラリアで創業した同名企業のオンライン動画編集ツールである。同社が発表したデータによれば、全世界で1400万人以上のユーザー登録数を数えるという。2021年4月にはChromebookアプリ版の提供を開始し、Googleも「Chrome OSでサポートしているドラッグ&ドロップ機能は、ファイルアップロードを20秒/1ユーザーあたり節約できる」とプラットフォームとしての優位性を強調している。

Webブラウザーで実行中のClipchamp

 ClipchampはスマートフォンやPCのカメラで撮影した映像や録音した音声、楽曲をアップロードし、各トラックに配置することで動画編集を行うSaaS型の一般的な動画編集ツールだ。10万を超えるストック映像&楽曲を配置することで、動画の品質を高められる。有償アカウントに切り替えれば、OneDriveなどのローカルはもちろん、クラウドストレージに動画ファイルを出力することも可能だ。正直に述べれば、動画編集はパワフルなローカルPCで実行するのが常、だと思い込んでいた筆者からすれば隔世の感があるものの、クラウドからOSを実行するWindows 365のような存在を踏まえると、Clipchampのようなサービスが成立するのも至極当然なのだろう。

動画作成で利用可能なビデオテンプレートの一部

 Microsoftは先の公式ブログで「あらゆるタイプのインフォメーションワーカーは、最小限の労力で素晴らしいビデオを作る能力を必要としている。10秒のソーシャルメディア広告、製品の(概要を紹介する)2分間のピッチ、または20分の説明ビデオでも、ClipchampとMicrosoftは必要なツールとエクスペリエンスを提供する」と述べている。現在のWindows 10で動画編集を行う術は「フォト」しかなく、充実しているとはいいがたい。ClipchampをMicrosoft 365の一機能とすることで、機能強化を図る手段を選択したのだろう。

 Clipchamp CEO兼共同創業者のAlexander Dreiling氏は今回の買収に関して、「エグジットイベントはスタートアップ企業の『旅の終わり』だが、同時に『新しい旅の始まり』である。Microsoftほどレガシー(遺産)とリーチ(伝達範囲)を持つ企業はいない」と公式ブログで歓迎の意を表している。現時点でMicrosoftは、ClipchampとMicrosoft 365 Appsの連携方法を明らかにしていないが、たとえばPowerPointであれば「メディア」セクションを拡張し、「ビデオ」から選択可能な項目として追加されるのだろう。本件に関してはOffice Insiderで利用可能になった時点で改めてご報告する。

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