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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第96回

MEMSスピーカーを採用

FAUNAのオーディオグラスを体験、オーストリア発のブランド

2021年10月11日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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音質は十分によい、MEMSスピーカーの新しい提案にも期待

 実機を試してみた。充電はメガネケース自体がクレードルとして機能し、ケースを開けると音声ガイドが流れてBluetoothのベアリングを促す。利用感は一般的なワイヤレスイヤホンに近いものと言っていいだろう。

 一見普通のメガネケースのようだが、少し重く感じられる。ふたを開ける部分にはUSB端子とLEDライトが配置されている。メガネとしては少しフレームが太いが、この部分に電子機器が入っているのだろう。このフレーム(テンプル)の左側と右側の側面がそれぞれコントロール部分の役割も果たしている。ダブルタップで音楽の再生と停止、指でなぞることで音量の上げ下げができる。

 メガネとフレームの接点には金属の電極のような充電のための接触面があり、ここでケースと接触して充電する。MEMSスピーカーはフレームの後端部の耳にかける位置に内蔵されている。

 装着するとフレームの側圧が少し強く感じられるが、これは調整できるのだろう。海外向けなのか日本人のような鼻が低い人にはやや鼻のかかりが浅くなる。側圧が強いこともあってすぐに落ちることはないが、長時間かけているとメガネ前面がずり落ちてくる。レンズの上面は強い光を遮るが下は透過するので、陽の下で本を読むのに良いかもしれない。透過している部分の透明度はかなり高くクリアに感じる。

 肝心の音質だが想像以上に良い印象だった。iPhoneの内蔵スピーカーのような無機的な音ではなく、もっと滑らかで包まれるような音場再現がある。中高域のベルや楽器が鳴る音は想像よりもきれいに再現できている。実際にボーカル曲を流しながらiPhoneの内蔵スピーカーと切り替えて聞いてみたが、本機の方が音色表現が優れている。ただ低域の量感はやはり少なく音量をあげていくと歪んでしまうように感じられるので、適度な音でBGMを流すのに向いているだろう。

 総じて言うと、装着感にやや難点はあるが、デザインは美しくレンズの品質も高いと思う。オーディオ的にはBGMなど落ち着いた音楽を流すものと考えればそう悪くはない。例えばエンヤの曲などをかけながらキャンプ場で物思いにふけるとか、リモートワークで作業用のBGMが欲しい時にいいように思える。音漏れはあるので図書館などまわりに人がいる静かな場所で使うのには向いていない。

 MEMS技術への期待も広がった。耳の中に入る方式にすればもっと低音は取れるかもしれない。

 MEMSスピーカーは小さなウェアラブル用品への応用だけではない。あるメーカーでは數十個のユニットをアレイ形状に用いた3Dヘッドホンの試作なども行っているようだ。これも現在の空間オーディオのトレンドと組み合わされていくと面白いだろう。やはりMEMSスビーカーは今後の注目技術の一つと言える。

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