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「AYA SCORE」「まちのコイン」が目指すもの:

地方創生に「スコア」や「コイン」が使えるワケ

文●石井英男 編集●ASCII

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スコアリングはSDGsとの親和性も高い

佐藤 SDGsの視点でいえば、まちのコインで体験できることにSDGsのゴールを結びつけることもできます。どれくらい市民が参加して、まちの中にそういうアクションが起こっているかをカウントできるわけです。

「まちのコイン」はSDGs貢献の指標にもなる

 たとえば神奈川県の「SDGsつながりポイント事業」では、県内の3市1地区で「SDGsつながりポイント」という名のもと、まちのコインを導入してくれています。その中で、「自分のごはんの量は自分で決めてください」というチケットをレストランの人たちが作っているんですよ。自分たちの契約農家さんのお米は精魂込めて作られた大切なものだから残さないでほしい。そうしたら50ロマン(コイン)をあげますと。そういう体験を提供してくれているんです。

 それはSDGs目標12の「つくる責任 つかう責任」、フードロスにインパクトがある行為ですよね。「ごはん少なめで」と言うだけでコインがもらえるんだったらやろうかな、とやるじゃないですか。そして「ありがとうございます、あなたはSDGsの12番に貢献しましたよ」と言われたら、「これでいいんだ」とわかっていく。そういう体験を通じてSDGsを知っていく、そういうことのほうが体験機会、認知機会が高まるんじゃないか。そういう考えのもとに、SDGsのツールとしてまちのコインを使ってもらうということをやっていますね。

地域活動がどの開発目標に貢献するかを確かめられる

フードロスに取り組んだ「まちのもったいないマーケット」の例

森田 ちょうど私も同じようなことを言おうとしたんですけど、SDGsの視点から、地域の価値は再定義できると思っています。AYA SCOREは現在地域貢献的活動を扱っていますが、その対象となる活動をもっと拡げて、SDGsの取り組みにするのは仕組みとしては簡単なことです。

人口減少社会に必要な考え方

森田 最近はポスト資本主義とか、ネクスト資本主義という議論があります。少し大げさかもしれないですが、私は、都市と地方の関係性を見直していく中で、新しい気付きが生まれ、新しい社会の仕組みになる、日本でそういうことが生まれていくといいなと思ってます。我々だけでやっているよりも、カヤックさんを含めてそういう取り組みをやっている人々で、価値観をお互い理解しあいながら共同で広めていく、そういうことをやっていけるといいのかなと思っています。

 いまはインクルージョンと言うとき、地方が都市の便利さを享受する文脈のほうが多いのですが、これからはむしろ逆に「都市に住む人たちが地域の豊かさをあらためて勉強させていただく」ことになるのでは、と思うんです。一般に言われるインクルージョンと逆の方向性を提示していくことで、日本らしいスマートシティが実装できるということなのかなと。それらが、相互につながっていくためにも、やはりキーワードになるのが関係人口だと思います。

佐藤 「綾町は7000人のまちだけど、綾町ファンは3万人います」みたいな、そういうことだと思うんですよ。ファンコミュニティというか、むしろ綾町コミュニティをスケールアップさせていくような取り組みをいろんな形でやっていくんだと思うんですが、それ自体が本当に面白いですよね。綾町自身が個性化して魅力を増せば、住んでいようが、住んでいなかろうが、継続的に関わってくれる人は増えていく。そうしたことをいろんな地域がたくさんやっていければいい。人口減少社会ですけど、いろんなことができるんでしょうね。

 

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