「AYA SCORE」「まちのコイン」が目指すもの:

地方創生に「スコア」や「コイン」が使えるワケ

文●石井英男 編集●ASCII

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ソーシャル・キャピタルでハッピーの連鎖を

森田 AYA SCOREも佐藤さんのお話にすごくつながります。地方の良さは色々あると思いますが、農村の良さは共助的な、みんなで支え合ってまちを成立させていく世界観だと思っています。

 都市は一人一人が独立していて、あらゆるサービスをお金で買うという割り切りの世界。一方で地方は、ご近所付き合いや助け合いが今でも根付いていて、全てをお金では解決しない。我々がご一緒させていただいた綾町は、そういった古き良き日本が色濃く残っているまちでした。

 綾町は有機野菜発祥のまちです。有機野菜を栽培するには、草むしりをしたり堆肥をみんなで融通しあったりと、本当に手間暇がかかることをやらないといけないので、一人一人の農家が独立してやるのは厳しいのです。それをまちぐるみでやりましょうという基本コンセプトを1970年代に綾町が作って、それをずっと継続しています。ボランティア活動も年に300回以上やっていて、年寄りから若い人までゴミ拾い活動とか草むしりに日常的に参加されてたりします。そういう地方での素晴らしい取り組みを地域に興味を持つ都市部の人たちに発信したいと思ったのがAYA SCOREの取り組みのきっかけです。

AYA SCOREの仕組み

 地域の良さを発信する上で着目したのが「社会関係資本」です。地域のつながりや利他的な行動は、経済学では「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」と言われていて、ソーシャル・キャピタルが高い地域は幸福度も高くなると言われています。お互いの信頼関係とか、地域への参画とか、共通の正義感を持っているとか、そういう価値観が共有できていれば、経済・教育レベルに関係なく、幸福度が高くなるという考え方です。

 私は、地方の素晴らしさを説明する切り口として、この「ソーシャル・キャピタルの高さ」に着目しました。

 実際に綾町全体でアンケートをとり、AYA SCOREを使っている人とそうではない人で、主観的な幸福度がどう変わるのかを調べたのです。すると、「もともと綾町に住んでいる方は主観的幸福度が全国平均よりもすごく高い」という事実がわかりました。さらに、「AYA SCOREを使って街への貢献や人と人の繋がりを促進する取り組みに参加されている方はさらに幸福度が高い」という結果も出たのです。

 この結果を受け、都市に住む人が地方に行って「風の人」になり、人と人を繋げることで幸福度がどんどん高くなるんじゃないか。地方の人がハッピーになるだけじゃなく、地方にコミットする人もさらにハッピーになるんじゃないか。そんな「ハッピーは連鎖する」という仮説を立てたのです。

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