x86サーバーはどれも同じ、ではない! HPEのサーバーが選ばれるワケ
HPEサーバーユーザーならば「使わないのはもったいない」、管理者が得られる3つのメリット
無償でサーバー運用管理がラクに!「HPE InfoSight for Servers」を知る
2021年10月20日 08時00分更新
ビジネスにおけるITの重要性が高まる一方で、ITインフラの運用管理現場では人員がなかなか増えず、業務負荷の減らない状況が続いている。運用管理業務を効率化したい、自動化したいと望んでいる現場は、企業規模の大小を問わず多いだろう。特に最近では、コロナ禍でリモートワーク/在宅勤務が推奨されるようになり、現場作業の多いサーバー運用管理の改善ニーズはさらに加速しているはずだ。
そこでオススメしたいのが、Hewlett Packard Enterprise(HPE)製サーバーのユーザーならば無償で使える「HPE InfoSight for Servers」の積極的な活用だ。HPEサーバーが内蔵するリモート管理機構とクラウド、ビッグデータ分析、AI/機械学習の力で、運用管理の効率化や自動化を実現できる。
HPE InfoSight for Serversの存在を知らず、使わないのは「もったいない」。今回の記事はそんなテーマで、このサービスで提供される機能が運用管理現場にもたらすメリット、そしてどんなユーザーにオススメなのかを考えてみたい。
“ベストプラクティス”を生成、共有するHPE InfoSight for Servers
もともとInfoSightは、HPEが2017年に買収したNimble Storageが開発していたストレージアレイ向けの運用管理支援技術/サービスである。
InfoSightは、世界中で稼働しているマシン(ストレージアレイ)から大量のセンサーデータ(メトリクスデータ)をクラウドに収集し、そのビッグデータを用いて高度な分析や機械学習を行う。これにより、マシンの稼働状態をリモート監視できるだけでなく、ヘルスチェックや自動アラート、予測分析、障害予兆検知、マシンの構成に基づくアドバイザリの提供、HPEサポートへの情報連携といった、日常的な運用管理業務を効率化、自動化する便利な機能群を実現している。
HPEでは、InfoSightのアナリティクス技術がストレージだけでなくITインフラ全体の運用管理に役立つと考え、2019年にその対象をサーバーにも拡大した。それがHPE InfoSight for Serversである(以下、これをInfoSightと記す)。クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーを搭載するHPE ProLiantサーバー(Gen 8以降)など、リモート管理機構の「HPE iLO(integrated Lights-Out) 4/5」を搭載したサーバーが対応している。
クラウドサービスであるため、InfoSightの利用開始は簡単だ。まずInfoSightのWebサイト(infosight.hpe.com)でアカウントを登録し、ライセンスキーを取得する。そのうえで「iLO Amplifier Pack」の仮想アプライアンス(VMware ESXi、Microsoft Hyper-V、Linux KVMに対応)をダウンロードして立ち上げ、ライセンスキーを入力する。iLO Amplifier Packがローカルネットワーク内のHPEサーバーを自動検出するので、管理対象として追加する。準備作業はこれだけだ。なお、InfoSightのサービスやiLO Amplifier Packはすべて無償で利用できる。
利用開始後も手間のかかる作業は必要ない。HPEサーバー上のiLO Management Engineが数千種のシステムパラメーターとセンサーデータを「HPE Active Health System(AHS)」に記録しており、iLO Amplifier Packは各サーバーからAHSログを収集してInfoSightクラウドへと継続的に転送する。蓄積されたデータに基づいて、InfoSightでは稼働状況の可視化やヘルスチェックといった機能を提供する。
サーバー運用管理をラクにする3つのメリット
サーバー管理者がHPE InfoSightを利用するメリットとしては大きく3つ、「クラウド型監視」「洞察」「トラブル対応工数の削減」が挙げられる。それぞれの詳しい機能も含めて見てみよう。
●クラウド型監視:どこにいてもサーバーの状態を把握できる
まずは管理者がどこにいても、サーバーがどこの拠点(場所)にあっても、インターネット経由で稼働状況を一元監視できる「クラウド型監視」だ。サーバールームやオフィスに張り付いて監視する必要がなくなるため、サーバー管理者の「働き方改革」やリモートワーク/在宅勤務を促進するうえでも有益である。
InfoSightの「Operationalダッシュボード」には、管理下にあるサーバー群のヘルスステータス(健康状態)や故障/トラブルの発生状況といったデータが、GUIでわかりやすく一覧表示される。平常時はこのダッシュボードを見るだけで、深刻な問題が発生していないかどうかを簡単にチェックできるので、余計な手間がかからない。
何か問題が生じていたら、この画面からドリルダウンしてそのサーバーを特定したり、個別の障害やトラブルについての詳細情報を確認することもできる。前述したとおり、InfoSightでは各サーバーから大量のAHSログを収集/蓄積しているので、管理者はリモートにいても詳細な稼働状況の把握や障害内容の確認、原因の調査といった作業が行える。トラブル発生の一報を受けて現場に駆けつける前に、まずは何が起きているのかを把握し、何をすべきなのか(あるいは何もしなくてもよいのか)を判断できるわけだ。
●洞察:実際の構成情報に基づいてアップデートを確認/推奨
InfoSightが「洞察(レコメンド、サジェスチョン)」の機能を提供することで、構成管理や情報収集といったサーバー管理者の業務も大幅に軽減される。InfoSightは詳細な構成情報(サーバーのモデル名、ファームウェア、OS、パーツなど)を収集しているので、それを分析して、実施が推奨される管理作業を具体的に示してくれるのだ。情報収集の手間が省けるだけでなく、作業漏れのミスも防げる。
たとえば個々のサーバーに対しては、サーバーのモデルや構成、バージョン情報などに基づいて関連性の高いカスタマーアドバイザリ(サポート情報)が自動で表示される。また、HPEが提供するサービスパック(SPP:Service Pack for ProLiant)最新バージョンに基づいてファームウェアやドライバのバージョンを自動チェックし、アップデート状態が適切かどうかを可視化する。
Gen10以降のHPE ProLiantサーバーであれば、InfoSightを通じてリモートからサーバーにホットフィックス(修正プログラム)を適用することも可能になっている。サーバーのコンポーネントを最新バージョンに保つ作業も、リモートから簡単にできるわけだ。なお、この機能のみ有償のiLO Advancedライセンスが必要だが、1サーバーあたり1年間で5万4000円、3年間で6万5000円(いずれも税抜、HPE Direct Plus調べ)と、作業効率の改善効果を考えると決して高くない価格設定だ。また試用版ライセンスも提供されている。
ちなみにInfoSightでは、管理下にあるサーバーの製品保証やサポート契約の情報も一覧表示できるようになっている。保証期間や契約期間の終了日も表示されるので、失効したまま使い続けてしまい、トラブルが起きてから気づいてあわてるといったミスも防ぐことができる。
●トラブル対応工数の削減:サポートケースの自動作成、自動通報も
サーバーにトラブルや障害が発生した際の「対応工数の削減」も大きなメリットだ。管理者の運用管理業務を効率化できるだけでなく、迅速な対応によって業務に与える影響も最小限に抑えられるだろう。
InfoSightの「Wellnessダッシュボード」を開くと、何らかの問題(イシュー)が発生しているコンポーネントと、その深刻度(クリティカル/警告/情報)を分類したサマリが一覧表示される。コンポーネントのアイコンをクリックすると、ドリルダウンして詳細なイシュー情報の一覧画面が表示される。
サポート契約を結んでいるサーバーの場合は、障害発生時にサポートケースを自動作成させることも可能だ。サポートケースを作成すると同時に、メールやダッシュボードを通じてサーバー管理者に通知を行う。さらには、InfoSightから直接HPEサポートに自動通報させることすら可能だ。これならば、管理者が障害発生に気づく前にHPEサポートがAHSログに基づいて対応を開始し、より迅速に対応を完了させることもできる。
HPE InfoSight for Serversはどんなユーザーにオススメか
ここまで説明してきたように、InfoSightは幅広い機能を持つ。筆者は、あらゆるHPEサーバーユーザーに利用をオススメできるサービスだと感じている。システムの規模を問わず、さまざまな場面でメリットが生まれるはずだからだ。
大規模なサーバー環境であれば、稼働状況や発生しているトラブルを一元的に監視/管理することができ、セキュリティパッチの適用漏れやサポート切れを防ぐことができる点が大きなメリットとなるだろう。その反対に、少人数で運用管理している小規模な環境ならば、リモートからでも監視できる点や障害の自動検知、さらに自動アラートやサポートケースの自動作成といった機能が、業務の生産性向上に役立つはずだ。
HPEによると、InfoSightを導入したスイスのITプロバイダーCentris AGでは、以前と比較してサポートケースの作成時間が80%高速化、サポートケース数は30%削減、そしてセキュリティパッチの適用までにかかる時間は数週間から数時間に短縮されたという。この事例などは、まさに“劇的な効果”を上げていると言ってよい。
また別の事例では、管理者が気づく前にInfoSightがトラブルを検知し、対応できたというものもある。NICの故障によってネットワークパフォーマンスが劣化していることをInfoSightが検知し、HPEサポートに自動通報。管理者がトラブル発生を知ったのは、HPEサポートから連絡を受けたときだったという。サービスダウンなど大きな障害になる前に検知できるのは、世界中で稼働するシステムから大量のデータを収集/分析しているInfoSightだからこそと言えるだろう。
HPE InfoSight for Serversは現在なお進化を進めており、将来的にはストレージ向けサービスですでに実現しているような、各種センサーデータから障害発生を事前に予測してパーツ交換などのアラートを出す障害の予兆検知、より詳細なパフォーマンス監視、設定のレコメンドといった機能も追加/強化していく計画だという。クラウドサービスなので、ユーザー側が特に何もしなくても常に最新機能が使えるのもありがたい部分だ。筆者はこうした“将来性”の部分にも大いに期待している。
* * *
ここまで見てきたとおり、HPEサーバーのユーザーならばInfoSightを使わないのは「もったいない」。ぜひともInfoSightを活用して、運用管理業務の効率化、自動化を進めていただきたい。
また、2023年の「Windows Server 2012」サポート終了を控えて、サーバーのリプレースを検討中の企業も多いはずだ。InfoSightが無償で使えるHPEサーバーを選択し、次世代サーバーOSへのリプレースと同時に“運用管理のリニューアル”も図ってはいかがだろうか。
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