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業界人の《ことば》から 第452回

ブロードバンドは人権なのか、オードリー・タン氏が取り残さない社会を作る技術を語る

2021年09月28日 11時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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ブロードバンドは人権である

 一方、タン氏は、「台湾では、ブロードバンドは人権だと考えている」とする。

 「台湾では、10Mbpsの速度であれば、どこにいても、1カ月15ユーロで、無制限データ接続が保証されている。へき地や離島にいても、誰もがアクセスできるようになることは、平等性だけでなく、遠隔医療や遠隔学習などに利用できることにもつながる。健康であることが人権であるのと同様に、ブロードバンドによるコネクティビティも人権であると考えている」と語る。

 日本のデジタル庁も、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を」をミッションに掲げているが、台湾はその一歩先を行っている。

 タン氏は、「デジタル格差によって取り残される人が増えたり、コネクティビティの格差に苦しむ人たちが増えてはいけない。デジタル化において、誰一人として、取り残さないデジタル化を実現していく」としたのに加えて、「シチズンテックの技術者が真の社会的ニーズを受け入れ、技術者たちが協創し、技術者が社会実装できる状況を作らなくてはならない。それにより、初めて、本当の意味で、社会的ニーズに、テクノロジーが応えることができる。大切なのは、デジタルを使いこなすためのデジタルリテラシーだけでなく、デジタル変革を実現するためのデジタルコンピテンシーである。自分たちも作り手として参加し、ソリューションの開発に貢献する。デジタルリテラシーと、デジタルコンピテンシーの2つがデジタル民主主義の鍵になる」とする。

 台湾のデジタル戦略は、こうした考えがベースになっている。

 タン氏のやり方は、「ユーザーをユーザーとして扱うのではなく、一緒に共創できるパートナーと見ること」である。

 「デジタル大臣として大切な姿勢は、市民のためではなく、市民とともにやるということである。市民はユーザーではなく、新たなニーズを発見できる革新的なパートナーである。課題を解決する新たなソリューションには、シビックテックとガバメントテックの組み合わせが大切である」とし、「このようなオープンイノベーションは、大手企業や巨大な政府組織が、新たなことを始めるときにも必要な要素になっている」と指摘する。

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