小学生向けのスマートディスプレー学習機「小度教育智能屏」
スマートスピーカーでアリババと競うのがバイドゥ。バイドゥも既存のスマートスピーカー製品とは別に、さまざまな機器にスマートスピーカー機能と老人や子供向けのソフトウェアを入れた製品を販売している。
「小度教育智能屏」は、子供向けの勉強に目的を絞った8インチのタッチディスプレイ搭載のスマートスピーカー製品だ。これまでの製品は中高生に対応していたが、この製品は幼児~小学生向けで、スマートスピーカーを恐竜のデザインのキュートなカバーで覆っている。カバーにはカメラが内蔵されていて、机の上の本について、指で示した先の中国語や英語の文章・単語を読んでくれる。ただ前述した他製品で実現しているような作文や数学の問題をカメラで読み込んで、AIで修正やアドバイスをするといった機能はない。
中国語、英語、数学パズル、知識などの勉強コンテンツのほか、子供向けアニメや絵本コンテンツも充実。センサーを備え、顔が近づけすぎた場合は警告する機能も備えている。値段は700元強(約1万2000円)。
話しかける内容を大人が作ることができる
子供用読み聞かせロボット「Luka」
キュートな目が特徴のフクロウ型のロボット「Luka」は、スマートスピーカー的な声がけに応じてくれる子供向けの学習機だ。対応した本の指で示したところの中国語・英語を音読してくれる。また保護者用のアプリから発声する内容を編集することもでき、たとえば「歯磨きしたら、絵本を読んであげるよー」といったメッセージを作成して、ロボットに喋ってもらうことができる。
こうした機能を持つロボットは多くリリースされていて、その中でLukaはデザインとコンテンツと機能とテンセント製AIで一歩先を行く出来となっている。そのため他機種よりも高く1000元(約1万7000円)。子供向けのロボットで中国語と英語のコンテンツを読むだけだが、幼児の英語教育を政府が良しとしないとなれば、ひょっとしたら売れなくなるかも。
★
今回5機種を紹介したが、このほかにも電子書籍型、ライト内蔵型、デスク内蔵型などさまざまな”奇”種がリリースされている。ガジェット好きな人のほか、「小さな子供に英語と中国語に触れさせてみたい」という人にとっても、市場から消える心配がある現在、早めに買ってみるといいかもしれない。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)、「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)などを執筆。最新著作は「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)
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