夢の技術! 自動運転の世界第38回

自動運転の基礎 その32

工場の電動カートが進化した自動運転EVが登場! 日本の自動運転は工場の中から?

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 9月1日、ヤマハ発動機と株式会社ティアフォー(以下「ティアフォー」)、そして株式会社イヴオートノミー(以下「イヴオートノミー」)の3社は、新型自動運転EVを開発し、来夏から自動搬送サービス「eve auto」を提供すると発表した。同日より、先行受注をスタートさせるという。

 ティアフォーは自動運転OS「Autoware」の開発を主導する企業であり、イヴオートノミーは、同社とヤマハ発動機が共同で2020年に設立させた企業。ティアフォーが自動運転技術、ヤマハ発動機が車体開発技術を提供し、イヴオートノミーでビジネス化するという格好だ。

 今回、発表された自動搬送サービス・eve autoは、公道ではなく、工場などの閉鎖空間向けとなる。2019年からヤマハの工場などで開発・実証実験を進めており、車体としては第3世代のもの。最初のモデルは、ゴルフ場で使われる4座のヤマハの電動カートに自動運転関連のセンサーを追加していたが、第2世代以降は運転席以外の座席を撤去して、より小型化されている。

 最新の第3世代モデルは、全長2440×全幅1100×全高1870㎜で1500kgまでの牽引、もしくは300kgまでの積載能力を持つ。12%の傾斜、3㎝までの段差を超えることができる。最高速度は20㎞/hまで出せるが、自動運転走行中は10㎞/h以下で運用されるという。搭載されるリチウムイオン電池の容量は発表されていないが、連続8時間ほどの走行が可能だという。遠隔監視の運用管理者は存在するが、走行中は基本的に無人であり、前方に人などを察知すると自動でストップする。センサーはライダーを主体としており、導入時に、ライダーセンサーによる詳細な3Dマップを制作する。その代わり、路面へのマーカー設置などの工事は不要。最短5日ほどで導入が可能だという。

CES2018の様子

 導入にかかる費用は、最初の3Dマップ制作に数百万円、以後はサブスクリプション方式の月々払いを予定する。広報担当者いわく「月額30万円台の前半になる予定」とか。2022年のサービス開始から3年ほどで、国内500~1000台の受注を目指すという。また、「次期は未定ですが、海外展開も検討中です」と広報担当者は説明する。

 工場内での無人運搬システムは、それほど珍しいものではないが、数百kg単位のモノを運搬できるサイズの車両は、それほど多くはない。また工事不要で、しかも数日単位で導入できるのも魅力だ。人手不足の製造業の現場では、月間数十万円という価格も魅力的と言えるだろう。リアルなビジネスとして、非常に現実味のある内容と価格だ。

CES2019の様子

 これまでヤマハは、電動カートをベースにした自動運転EVのビジネス化をいろいろと探ってきた。2018年や2019年のCESなどにも、電動カートをベースにした自動運転EVの展示をしている。また、公共交通の不足する地域での市民の足としての低速走行モビリティーを中心に、全国各地での実証実験にも積極的に参加してきた。

 しかし、公共交通の自動運転サービスはハードルが高いようで、実際のところ本格的な実用化は、もう少し時間がかかりそうだ。その一方、工場内という閉鎖空間での自動運転EVのビジネスは、3年という短時間で先行受注開始というスタートラインに立つことができた。国内での自動運転EVの普及は、工場内といった製造の現場から進んでゆくのではないだろうか。

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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