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“お祭り”を形づくる“演劇人”たちの「演劇への愛」の深さに驚嘆!

2021年08月27日 16時00分更新

文● 原田健

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撮影:宮川舞子

 7月13日に「第11回 衛星放送協会 オリジナル番組アワード」の最優秀賞が発表され、教養部門では「劇場の灯を消すな! Bunkamuraシアターコクーン編 松尾スズキプレゼンツアクリル演劇祭」(WOWOWライブ)が受賞した。

 同番組は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて公演中止が続いていた劇場において、オリジナル番組を制作するWOWOWの演劇プロジェクトの第一弾。東京・Bunkamuraシアターコクーンを舞台に、松尾スズキが総合演出を務め、劇場スタッフ、テレビスタッフが協業して制作した劇場愛あふれるエンターテインメントだ。

 「アクリル演劇祭」とはよくいったもので、感染対策としてアクリル板を使用しながら舞台の全ての要素が詰まったお祭りを開催しており、演劇ファンならずとも心震える豪華なキャスト陣と、歌、踊り、対談、朗読、演劇、剣劇などで構成された魅力満載の内容は必見。

 しかしながら、最も驚くべきは“演劇人”たちの「演劇への愛」の深さだ。

 観客の“密”に関する問題を別にしても、マスクやフェイスガードなどが作品のメッセージ性を損なってしまう演劇にとって、感染症対策は他のジャンルと比べて一段とハードルが高い。小劇場であればあるほどソーシャルディスタンスを保てず、まさに新型コロナウイルスは“演劇人”たちの全てを奪ったといっても過言ではないだろう。彼らの怒りや悲しみ、喪失感たるやどれほどのものであっただろうか。

 だが、そんな状況の中でも松尾はアクリル板を演出の小道具の一つとして扱い、風刺の効いた皮肉な笑いを生み出すツールにすることで、舞台ならではの柔軟性と多様性を証明し、新たな可能性までも示している。出来上がった作品から受ける驚きや感動、感嘆はもちろん小さくないが、「何かできることはないか」と思考を巡らし、アクリル板を使った演出をひねり出して、素晴らしいショーへと仕上げる大変さを思うと、それは並大抵のものではなかったであろうことは容易に想像できる。しかし、その困難を乗り越えやり遂げられたのは、演劇の素晴らしさを知り、演劇の可能性を信じて、演劇の灯を消すわけにはいかないという使命感に突き動かされたからに違いない。

 加えて、このプロジェクトを企画したWOWOW、松尾の元に集まったスタッフ、公演が中止となって閑散とした劇場を憂いていたことが一目でわかる豪華過ぎる出演者たち。それぞれの深い「演劇への愛」があったからこそ、濃密で充実した特別感のある“お祭り”として形成させられている。

 舞台の全要素が詰め込まれた“お祭り”を形づくる深い“演劇人”たちの「演劇への愛」を受け取ってほしい。

【放送・配信情報】
劇場の灯を消すな! Bunkamuraシアターコクーン編 松尾スズキプレゼンツアクリル演劇祭
10月31日15時30分~
WOWOWプライム

劇場の灯を消すな! 第1弾~第4弾(全4回)
WOWOWオンデマンドにて配信中!

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