イヤホン端子2つ使いで実現する個性的な機能
「QX-over Earphones for 5K DAC/AMP」は「Qudelix-5K Reference DAC AMP」専用のイヤホンで、ドライバーは8mm径のダイナミックドライバーを低音用と高音用に2基搭載、そして特殊な2.5mmと3.5mmを両方備えたイヤホン端子を備えている。
この独自端子は2.5mm側がそれぞれR高域、R低域、L高域、L低域を担当し、それぞれ4chアンプに一つずつ接続される。3.5mm側はグランド(G)を担当している。QX-over EarphonesをQudelix-5K Reference DAC AMPに接続した時に、自動的に認識されてアクティブクロスオーバー・モードとなる。ちなみに普通の2.5mm端子のイヤホンを接続するとQudelix-5K Reference DAC AMPは4chアンプで(いわば普通の)バランス駆動を行う。
アクティブクロスオーバーとは何か。通常のマルチドライバーイヤホンでは2Wayや3Wayの構成が取られ、それぞれのドライバーで再生する周波数帯域を、抵抗やコンデンサなどの電気パーツで分割する。これをパッシブクロスオーバーと呼ぶ。一方、DSPを使用してイヤホンよりも前の段階=デジタル領域で、それぞれのドライバーに送る帯域を分割するのがアクティブクロスオーバーだ。
電気的なパーツを使わないので、製造誤差やアナログ的なロスの影響を受けない。より正確で高音質のサウンドを可能とする優れた方式だ。この方式を用いたイヤホンのパイオニアといえば、ジェリー・ハービー氏だったが、彼はそれを実現しないままUltimate Ears社を去った。後年、自身が主宰のブランドで「JH audio JH3A」というユニークな機種を発表したが、あとに続く製品はあまりなかった。それを低価格モデルで実現したのはちょっとした驚きであり、注目したい新製品だと言える。
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