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山根博士の海外モバイル通信 第560回

Honorの新スマホ「Magic3」は幻の「Google入りHUAWEI Mate 50」なのか?

2021年08月16日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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「Honor Magic3 Pro」ファーウェイから出ていればMate 50 Proだったのかも

 2020年末にファーウェイのサブブランドだったHonor(オナー)が独立し、2021年から次々と新製品を出しています。8月12日にはSnapdragon 888+(一部888)を搭載したハイエンドモデル「Honor Magic3」シリーズ3機種が発表されました。このMagic3シリーズは「HUAWEI Mateシリーズの最新モデルではないか?」と思えるような製品なのです。しかもグローバル版も発売予定。「ファーウェイスマホ・ロス」な人にはうれしい製品になりそうです。

 「Honor Magic3」「Honor Magic3 Pro」「Honor Magic3 Pro+」の3モデルはいずれも本体背面中央にカメラを配置しています。Honorが独立してからこのカメラデザインの製品は初となりますが、過去にはファーウェイから「Mate 40」や「Mate 30」シリーズとして円形にカメラを配置した類似デザインの製品が出ていました。

「HUAWEI Mate 40 Pro」。Honor Magic3 Proとカメラデザインが似ている

 ところでファーウェイは毎年春に「P」シリーズ、秋に「Mate」シリーズを出していました。しかし今年は「P50」シリーズが夏に発表され、8月及び9月に各モデルが発売になります。例年の慣わしであれば10月に「Mate 50」シリーズが発表されるはずでしたが、今年はどうやらスキップされる気配が強まっています。

8月と9月に発売になるHUAWEI P50 Pro(メモリー容量とチップセットで発売時期が異なる)

 ここであらためてHonorのMagic3シリーズを見てみると、まるでファーウェイから出るはずだったMateシリーズ最新モデル、すなわち「HUAWEI Mate 50シリーズ」だったのではないか? と思えるほど本体の外観やフロントカメラデザインが似ています。また背面カメラの性能アップもMate 40シリーズからの妥当な進化であり、Magic3シリーズこそMate 50シリーズではないか、と思えるのです。

 スマートフォンの開発には通常2年程度の時間がかかると言われていますから、Honor Magic3シリーズは同社が独立してから開発したのではなく、ファーウェイの時代に基本的な部分の開発が行なわれていたとも推測したくなります。

Honor Magic3 pro(左)はHUAWEI Mate 40 Pro(右)の後継機に見える

 そこで去年のMate 40シリーズ中核製品「HUAWEI Mate 40 Pro」から、今年のHonor3シリーズ中核モデル「Honor Magic3 Pro」がどのように進化したかを比べてみます。

 まず変わらないスペックはディスプレーがどちらも6.76型(2772x1334ドット)。フロントカメラは1300万画素+ToFのデュアルで形状も同じです。さらにバッテリーの高速充電はどちらも66W。IP68の防水防塵も同じです。一方、1年前からの進化はディスプレーのリフレッシュレートが90Hzから120Hzへ、バッテリー容量は4400mAhから4600mAhへと増量しています。

ディスプレーはリフレッシュレート以外スペックは同じ

 そしてメインカメラのスペックを見ると、さらに両者の関係は兄弟に見えてきます。メインカメラの進化は昨年のHUAWEI Mate 40 Proから、今年出るはずだったHUAWEI Mate 50 Pro(すなわちMagic3 Pro)の間に、Pシリーズ最新モデルであるファーウェイ「HUAWEI P50 Pro」をはさんで画素数を比較してみるとこのようになります。

  • HUAWEI Mate 40 Pro:広角5000万+超広角2000万+5倍望遠1200万
  • HUAWEI P50 Pro:広角5000万+超広角1300万+3.5倍望遠6400万+モノクロ4000万
  • Honor Magic3 Pro:広角5000万+超広角1300万+3.5倍望遠6400万+モノクロ6400万+ToF

Honor Magic3 ProのカメラはHUAWEI Mate 40 Pro→HUAWEI P50 Proからの進化に見える

 HUAWEI Mate 40 ProからHUAWEI P50 Proへは、超広角カメラの画素数は下がったものの、ペリスコープ式の望遠カメラは6400万画素へと大幅に画素数を高めています。倍率は5倍から3.5倍に落ちましたが、画素数アップのほうが実用上は大きな進化でしょう。そしてHUAWEI P50 ProとHonor Magic3 Proは3つのカメラ性能は同じですが、Honor Magic3 Proはモノクロの画質を高めました。このように3モデルはそれぞれ同じ進化の過程に並ぶ製品に見えるわけです。

 さらにシリーズ最上位モデルとなる「Honor Magic3 Pro+」は、Mate 40シリーズ最上位モデルであった「HUAWEI Mate 40 RS Porsche Design(PD)」とこれまたよく似た本体デザインであり、カメラも画素数もさらに強化されています。

  • HUAWEI Mate 40 RS PD:5000万+超広角2000万+3倍望遠1200万+10倍望遠800万+ToF
  • Honor Magic3 Pro+:5000万+超広角6400万+3.5倍望遠6400万+モノクロ6400万

Honor Magic3 Pro+(左)とHUAWEI Mate 40 RS Porsche Design(右)

 Honor Magic3 Pro+のカメラはもはやモンスター級と呼べるほど高く、ポルシェデザインモデルの10倍望遠は現実的に使う頻度が少ないことから、それを廃止して超広角を6400万画素にしてくれたほうがユーザーにとっては大きなメリットがあるでしょう。

 こうしてMagic3シリーズとMate 40シリーズ、そしてHUAWEI P50 Proの性能を比較してみると、Honor Magic3 Proは発売が幻となりそうなファーウェイ「HUAWEI Mate 50 Pro」、Honor Magic3 Pro+はファーウェイ「HUAWEI Mate 50 RS Porsche Design」と考えてもよいかもしれません。しかもうれしいことにHonor Magic3シリーズはグローバルで販売されますから、Googleサービス(GMS)が搭載されます。

Magic3発表会ではHonorのCEO、趙明氏の表情に自信があふれていた

 グローバル版の価格は、今回は紹介しなかったHonor Magic3が899ユーロ(約11万6000円)から。Honor Magic3 Proは1099ユーロ(約14万2000円)から、そしてHonor Magic3 Pro+が1499ユーロ(約19万4000円)からとなります。大手メーカーのフラッグシップモデルを超えるカメラ性能を誇るHonor Magic3シリーズ、発売後に各国でどれくらいの人気製品になるか楽しみです。

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