2020年末にファーウェイのサブブランドだったHonor(オナー)が独立し、2021年から次々と新製品を出しています。8月12日にはSnapdragon 888+(一部888)を搭載したハイエンドモデル「Honor Magic3」シリーズ3機種が発表されました。このMagic3シリーズは「HUAWEI Mateシリーズの最新モデルではないか?」と思えるような製品なのです。しかもグローバル版も発売予定。「ファーウェイスマホ・ロス」な人にはうれしい製品になりそうです。
「Honor Magic3」「Honor Magic3 Pro」「Honor Magic3 Pro+」の3モデルはいずれも本体背面中央にカメラを配置しています。Honorが独立してからこのカメラデザインの製品は初となりますが、過去にはファーウェイから「Mate 40」や「Mate 30」シリーズとして円形にカメラを配置した類似デザインの製品が出ていました。
ところでファーウェイは毎年春に「P」シリーズ、秋に「Mate」シリーズを出していました。しかし今年は「P50」シリーズが夏に発表され、8月及び9月に各モデルが発売になります。例年の慣わしであれば10月に「Mate 50」シリーズが発表されるはずでしたが、今年はどうやらスキップされる気配が強まっています。
ここであらためてHonorのMagic3シリーズを見てみると、まるでファーウェイから出るはずだったMateシリーズ最新モデル、すなわち「HUAWEI Mate 50シリーズ」だったのではないか? と思えるほど本体の外観やフロントカメラデザインが似ています。また背面カメラの性能アップもMate 40シリーズからの妥当な進化であり、Magic3シリーズこそMate 50シリーズではないか、と思えるのです。
スマートフォンの開発には通常2年程度の時間がかかると言われていますから、Honor Magic3シリーズは同社が独立してから開発したのではなく、ファーウェイの時代に基本的な部分の開発が行なわれていたとも推測したくなります。
そこで去年のMate 40シリーズ中核製品「HUAWEI Mate 40 Pro」から、今年のHonor3シリーズ中核モデル「Honor Magic3 Pro」がどのように進化したかを比べてみます。
まず変わらないスペックはディスプレーがどちらも6.76型(2772x1334ドット)。フロントカメラは1300万画素+ToFのデュアルで形状も同じです。さらにバッテリーの高速充電はどちらも66W。IP68の防水防塵も同じです。一方、1年前からの進化はディスプレーのリフレッシュレートが90Hzから120Hzへ、バッテリー容量は4400mAhから4600mAhへと増量しています。
そしてメインカメラのスペックを見ると、さらに両者の関係は兄弟に見えてきます。メインカメラの進化は昨年のHUAWEI Mate 40 Proから、今年出るはずだったHUAWEI Mate 50 Pro(すなわちMagic3 Pro)の間に、Pシリーズ最新モデルであるファーウェイ「HUAWEI P50 Pro」をはさんで画素数を比較してみるとこのようになります。
- HUAWEI Mate 40 Pro:広角5000万+超広角2000万+5倍望遠1200万
- HUAWEI P50 Pro:広角5000万+超広角1300万+3.5倍望遠6400万+モノクロ4000万
- Honor Magic3 Pro:広角5000万+超広角1300万+3.5倍望遠6400万+モノクロ6400万+ToF
HUAWEI Mate 40 ProからHUAWEI P50 Proへは、超広角カメラの画素数は下がったものの、ペリスコープ式の望遠カメラは6400万画素へと大幅に画素数を高めています。倍率は5倍から3.5倍に落ちましたが、画素数アップのほうが実用上は大きな進化でしょう。そしてHUAWEI P50 ProとHonor Magic3 Proは3つのカメラ性能は同じですが、Honor Magic3 Proはモノクロの画質を高めました。このように3モデルはそれぞれ同じ進化の過程に並ぶ製品に見えるわけです。
さらにシリーズ最上位モデルとなる「Honor Magic3 Pro+」は、Mate 40シリーズ最上位モデルであった「HUAWEI Mate 40 RS Porsche Design(PD)」とこれまたよく似た本体デザインであり、カメラも画素数もさらに強化されています。
- HUAWEI Mate 40 RS PD:5000万+超広角2000万+3倍望遠1200万+10倍望遠800万+ToF
- Honor Magic3 Pro+:5000万+超広角6400万+3.5倍望遠6400万+モノクロ6400万
Honor Magic3 Pro+のカメラはもはやモンスター級と呼べるほど高く、ポルシェデザインモデルの10倍望遠は現実的に使う頻度が少ないことから、それを廃止して超広角を6400万画素にしてくれたほうがユーザーにとっては大きなメリットがあるでしょう。
こうしてMagic3シリーズとMate 40シリーズ、そしてHUAWEI P50 Proの性能を比較してみると、Honor Magic3 Proは発売が幻となりそうなファーウェイ「HUAWEI Mate 50 Pro」、Honor Magic3 Pro+はファーウェイ「HUAWEI Mate 50 RS Porsche Design」と考えてもよいかもしれません。しかもうれしいことにHonor Magic3シリーズはグローバルで販売されますから、Googleサービス(GMS)が搭載されます。
グローバル版の価格は、今回は紹介しなかったHonor Magic3が899ユーロ(約11万6000円)から。Honor Magic3 Proは1099ユーロ(約14万2000円)から、そしてHonor Magic3 Pro+が1499ユーロ(約19万4000円)からとなります。大手メーカーのフラッグシップモデルを超えるカメラ性能を誇るHonor Magic3シリーズ、発売後に各国でどれくらいの人気製品になるか楽しみです。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第780回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! -
第723回
スマホ
レトロデザインが可愛すぎる!? Nokiaケータイ風リュックの良さを知ってほしい! -
第722回
スマホ
iPhone 16発売直後の深セン、中国でも中古買い取りショップと転売が盛況 -
第721回
スマホ
日本と変わらぬ熱気がスゴイ! 中国・深セン版「ポタフェス」に行った -
第720回
スマホ
USBケーブルや電源プラグに4G内蔵も! 進化するモバイルルーターたち - この連載の一覧へ