しっかりとした装着感
こういった合体型のDAPでは、モジュールを固定する方法が課題となる。電気的には確実に固定する必要があるが、ネジで固定すると外しにくくなり交換が面倒になる。そこで「ダブルロック」と呼ばれる二箇所で止める方式を採用して工具不要で確実な固定を保証している点もAstell&Kernらしいスマートな点だ。
モジュールは標準で付属する「SEM1」とオプションで購入する「SEM2」が現在のところ用意されている。
SEM1はESS ES9038 PROをひとつ搭載している。これはA&futura SE100に似た構成である。SEM2はAKM AK4497EQを左右独立でふたつ搭載したモジュールだ。こちらは「A&ultima SP1000」シリーズに似た構成と言えるだろう。
SEM1・SEM2ともにこれまでの3.5mm端子、2.5mm端子(バランス駆動用)のほかに、4.4mm端子を搭載している点も興味深い。ヘッドホンのバランス駆動は、もともとアメリカのブランド主導で始まり、規格(端子)はほぼ統一されていた。しかし、イヤホンの方は、時代も後になりアメリカや日本、中国、韓国が入り乱れて規格が乱立した経緯がある。とはいえ、現状であれば2.5mmと4.4mm端子の両方を搭載していれば問題ないだろう。
LDAC対応やスマホとの新しい連携性も特徴
SE180はプレーヤーとしての機能が進化している点も見逃せないだろう。
Bluetoothでは従来からサポートしていたaptX HDに加えてLDACに対応した。Astell&Kern製のDAPでは、「A&norma SR25」「KANN ALPHA」に続く3機種目となる。また、「BT Sink」という名称でBluetoothレシーバー機能(スマホなどで再生した音をSE180で受けること)も可能になった。
もうひとつ大きな機能追加は「AK File Drop」機能だ。端的に言うとSE180がftpサーバーになり、Wi-Fi経由で音楽ファイルを転送できる機能だ。もちろんUSB DAC機能、AK ConnectというDLNA機能、MQAソフトウエアデコード機能も搭載されていて、機能的にもかなり充実したDAPだ。
画面サイズは5インチ(フルHD解像度)。SE200の画面サイズも5インチだったが、HD解像度(1280×720画素)だった。SE180は解像度が1920×1080画素に増えている。オーディオ回路とプレーヤー機能部分をモジュール化して切り離したことで、ノイズの発生を気にせずにスペックをあげられたのかもしれない。UI面でも画面下部に新設のナビゲーションバーが設けられ、操作しやすくなっている。
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