
7月11日に、オンラインライブ配信サービスのThumvaで、4K画質/ハイレゾ音声による藤田恵美のライブ動画「Headphone Concert 2021」が配信された。コルグが開発した「Live Extreme」の技術を採用した(関連記事)。

会場風景、ノイマンの真空管マイクなどスタジオ用機材が利用されている
このコンサートは歌手の藤田恵美さんが出演し、今年の2月18日、19日に開催されたハイレゾヘッドホンコンサート「藤田恵美『Acoustic Concert 2021』」を録画配信したものだ。ハイレゾヘッドホンコンサートはライブというより公開録音に近い試み。生音の録音にはスタジオ用のレコーディング機材が用いられ、通常のコンサートで用いられるPA機材(拡声用スピーカーなど)は使用しない。参加者はイヤホンやヘッドホンを持ち寄って収録に立ち会い、録音エンジニアが現場で聞いている音をそのまま楽しむというユニークな趣旨のコンサートだ。
PCブラウザーで楽しめるハイレゾ品質ライブ
このコンサートの模様はe-onkyo musicで販売中のダウンロード音源で聴け、YouTube上の動画でも伝えられている。Live Extremeを使いThumvaで配信された7月11日のオンラインライブは、その様子をハイレゾ音質とより高解像度の画質で生き生きと楽しむことができるというものだ。
配信ではハイレゾヘッドホンコンサートの当日に撮影した4Kマスター映像とハイレゾマスター音声をLive Extremeの形式にエンコードして、ストリーミング配信した。
具体的には「フルHD画質、音声48kHz」「フルHD画質、音声192kHz」「4K画質、音声48kHz」「4K画質、音声192kHz」の4種類が選べた。フルHD画質の場合20Mbps、4K画質では35Mbps以上の回線速度が推奨されている。
ライブ映像はThumvaの専用アプリではなく、ウェブブラウザーを使って視聴する。残念ながら今のところThumvaアプリではLive Extremeをフルサポートしていないため、Live Extremeでハイレゾ音声を楽しむためにはWindows10やMacのウェブブラウザーで楽しむのがお勧めだ。筆者はWindows 10でChromeを使用した。

高音質で楽しむためには、USB DACやDAC内蔵ヘッドホンアンプを用意するのがやはりオーディオ的な楽しみ方だ。筆者はサンプリングレートを確認する目的もあり、「Luxury & Precision W2」を使用した。Windowsマシンで試聴するために、付属の「USB-C to Cケーブル」と「USBアダプター」を使用した。Windows 10ではドライバーのインストールは不要なのでそのままUSB端子に接続するだけである。USB Type-C端子のあるパソコンならUSBアダプターも不要だ。
ブラウザーは一般のイメージよりもかなり高度な音楽再生ソフトでもある。ただし、Audirvanaなど音楽再生専門のソフトが有しているような自動サンプルレート変換機能はないため、手動でパソコンのミキサー設定を開き、音源のサンプリングレートと同じにしなければならない (この手続きはLive Extremeの使用手順にも記載されている)。
Windows10の場合は、サウンドの設定からLuxury & Precision W2のプロパティを開く。その詳細にプルダウンメニューがあるので、そこから対応するサンプリングレートを選択する。W2は32bit DACなのでビット数は32bitになる。そして「レベル」の項目では100%を選択する。音質維持のために音量の変更はあくまでW2側の音量ボタンを使用する。Macの場合には同じ手続きを「Audio/Midi設定」で行えばよい。
ライブ視聴をするためには、まずThumvaのアカウントを作成する。そのうえでコンサートのチケットを購入するとチケットコードが発行されるので、それをThumvaで登録する。チケットを購入・登録したのと別のパソコンやタブレットからも、マイページからマイチケットを参照することでライブ配信をみられる。
オンラインコンサートにも開場時間と開演時間があり、開場時間になると再生画面を開けるようになる。パソコンや再生機器の設定は、開演時間までの合間に確認しておくのがよいだろう。リアルのイベントでエンジニアがサウンドチェックしている時間に自分もサウンドチェックしておくわけだ。

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