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高音質で定評あるカバーシリーズ、8年ぶりの新作

歌手・藤田恵美さんに聞く、最新盤「camomile colors」の手ごたえ

2018年11月23日 12時00分更新

文● ASCII

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癒しのカバーアルバムが、8年を経てふたたび

 歌手・藤田恵美さんの最新ソロアルバム「camomile colors」(カモミール・カラーズ)が11月21日に発売となる。camomile(カモミール)シリーズは、洋楽カバーを中心とした選曲で2001年からスタート。ベスト盤を含めれば全7作がリリースされている。

 2007年発売の「camomile Best Audio」以降は、SACDとしてリリース。エンジニアの阿部哲也氏が手掛けるサウンドは、オーディオユーザーの視点からも高音質と評価されており、ベストセラーになった。

 最新のcamomile colorsでは高音質CD(UHQCD)でのリリースを選択。ただしハイレゾ配信サイトでは、DSD版の音源も用意している。

『camomile colors』藤田恵美、e-onkyo music

 一方で、ボーカルの真空管マイクはノイマン(Neumann)の「U47Tube」を使用。「アナログマルチトラック」でのレコーディングなど、基本的な手法は第1作から変えていない。レコーディングは、現場の臨場感、アーティストのニュアンスを詳細に伝えるため、ほぼ一発録音で進めている。これはデジタルの多重録音が主流になっている現在の音楽制作では異例だ。アーティスト側も、緊張感とやりがいを感じる現場だろう。

 音源を聴いてみたが、藤田恵美さんのボーカルの魅力はもちろんだが、そんな空気を感じるディティールが魅力的だった。藤田さんと阿部さんに聞いた。

プロフィール - 藤田恵美

 1994 年にLe Couple(ル・クプル)としてデビュー。1997 年に「ひだまりの詩」が180万枚の大ヒットを記録。2001年からはソロプロジェクトを開始し、「camomile」の一作目を発売した。2012年、リリー・フランキー氏プロデュースのアルバム「花束と猫」が、第54回 日本レコード大賞『優秀アルバム賞』を受賞。

 ライフワークとして2010年から、子供たちと音楽や手話を通して「思いやり」を考える、「OMOIYARI音楽会」を小学校中心に行っている。現在までに170ヵ所以上を訪れ、合唱をした人数は3万3000人を超えている。

■関連サイト

最近では減った一発録音だが、緊張感が伝わる

──カモミールの最新盤がいよいよ登場しました。そのコンセプトについて改めて教えてください。

藤田 「聴きながら、いつの間にか眠りに入ってしまう。そんなシリーズがカモミールですね。カモミールはハーブの一種で、西洋では身近な『常備薬』です。風邪のひきかけやちょっと眠れないときに飲んだりします。私も1作目の時にレコーディングの現場によく持ち込んでいたので、アルバムのタイトルを決めるときに『そういえば恵美さんはよくカモミールティーを飲んでいるよね』という話題になって……。そこから自然に付いた名前です」

──camomile smile以来の新録音となりましたが。

藤田 「間にベスト盤を挟んだ、実に8年ぶりの収録です。でもコンセプト自体は第1作から何も変えていないんです。途中、歌謡曲のアルバムや50代の女性に向けたアルバムなども作ってきましたが、カモミールは『いっせのせ』でセッションを録るという点がほかと違っています。

 ダビング時に、別録音した音を装飾的に入れていますが、これはごく一部分だけです。基本的にはブースに全員が入って、同時にセッションしたものを、そのまま録音しています。だから失敗できないし、歌う側、演奏する側にも緊張感が出てきますね。

 作品の完成度を高めるつくり方にはいろいろなアプローチがあって、それぞれに目指す目標があります。そんな中、カモミールは、緊張感とワクワク感を感じる現場と言えるかもしれません。よりレコーディングをしている感覚を味わえるというか、音楽を作っている場所にいる感触が得られますね。こういう緊張感のあるレコーディング方法は、音楽制作の現場では減ってきているだけになおさらです」

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