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「軌跡」シリーズ大好きライターから見た『那由多の軌跡』とは

本当に「外伝」なのか……?PS4版『那由多の軌跡:改』初プレイのレビューをお届け!

2021年07月14日 14時20分更新

文● Zenon/ASCII

『那由多の軌跡』は「外伝的作品」なのか?

「ミラ」「セルジュ」など共通項目もあるにはあるが……?

 ここからは「軌跡」シリーズを触れたことのある人向けに、個人的な考察を語らせていただこうと思う。テーマは冒頭でも触れた、ほかの「軌跡」シリーズと本作『那由多の軌跡』は世界観的、設定的な関連性があるのかどうか。つまり本作は「外伝」なのかという点だ。

 自分の結論としては、「直接のつながりは薄い」といったところ。少なくとも、同一の世界観、時間軸で展開している「ゼムリア大陸」の物語とは異なっている。

 お金の単位が「ミラ」であったり、距離の単位が「セルジュ」である点から見れば「ゼムリア大陸」と同じ世界観だと言えるかもしれないが、逆にそれ以外の固有名詞では共通項がほぼ見つからなかったこと、および本作の事件が「ゼムリア大陸」においてまったく触れられていないのがその理由だ。

 もし、「シエンシア海」「港町サンセリーゼ」という地名が今後「ゼムリア大陸」の物語で出てきたら、関連性が一気に強まるので覚えておきたい。なお、本作でも「帝国」などのワードはあったが、なに帝国なのかは明言されなかった。ちなみに年号は「新暦1579年」とのこと

 また、「世界の果て」というワードは「ゼムリア大陸」の物語をプレイ済みの人からすれば注目せざるを得ないだろう。あちらでは「枷(かせ)」など、複雑な設定がてんこ盛りでまだ明らかになっていないが、本作では答えが出ている。それがあちらと同じとは限らないが、じつに興味深く考察させていただいているところだ。

 そして劇中の歴史の話では「大洪水」というワードが出てきたが、それが古代ゼムリア文明が滅びたという《大崩壊》と同一かというと、ちょっと違う気もする。

 本作には「ゼムリア大陸」の物語と同一なら必ず出てくるはずのキーワード「七耀教会」や「空の女神」「古代遺物」などがまったく登場しないという点も大きい。このように、戦闘形式がアクションである点も含め、「ゼムリア大陸」を描く「軌跡」シリーズとは異なる点が多いため、本作は「外伝的作品」と位置付けられているのだろう。

 「外伝的作品」と位置付けることに納得はできたが、「外伝だ」と言い切らないのは逆に「つながってるかも?」という期待感もあるから。そこは今後の「宿題」となりそうだ。

博物館の水槽。ここに使われている巨大ガラスは現代の技術では製作不可能だという。
文明レベルが「ゼムリア大陸」と比べるとやはり遅れている印象だ

 ちなみに、本作の主人公ナユタの姓である「ハーシェル」と、『閃の軌跡』に登場するトワ・ハーシェルとの関連性や、クレハと《盟主》のビジュアルが類似している点については、プレイしても答えは出なかった。いまのところは「関係あったらおもしろいな」と、留意しておくほかない。

 さらに、2021年9月30日発売予定のシリーズ最新作『黎の軌跡(くろのきせき)』に登場する新キャラクター「シズナ・レム・ミスルギ」のミドルネームが、本作のとあるキャラクターと同一であることも気になってきた今日この頃。ただのファンサービスなのか、それとも何らかの関連性を今後持たせるための「匂わせ」なのか。

両作品の「ハーシェル」。『閃の軌跡Ⅱ』で参戦するトワの最強武器は
「那由多」という名前も冠していたが、これは恐らくファンサービスだと思われる。
なお、「風」とつぶやいたから、ナユタがノルド関係者ではないかと考えるのは
こじつけが過ぎるだろうか(笑)

本作のクレハと「軌跡」シリーズに登場する《盟主》。
確かに銀髪、赤い瞳、胸元の装飾、服のデザインなど、
類似する点は多いように見えるが果たして……?

 とは言え、これで「軌跡」シリーズはすべてプレイしたと胸を張って言えるので、もし今後関連性が強まったとしたら、いちファンとして大いに考察・感動していきたいと思う。

 上記のように、シリーズファンは今後のシリーズも含めて考察がはかどるし、逆に「軌跡」シリーズをプレイしたことのない人も、単体のアクションRPGとして楽しめる作品となっている。

 引き込まれるストーリー展開や、王道にして大正義の青春イベント、細かく用意された人間ドラマは「ゼムリア大陸」の物語と遜色ないので、個人的には間違いなく「アタリ」のゲームだった。もし買おうか迷っている人がいれば、ぜひプレイしてみてほしい。

 

【ゲーム情報】

タイトル:『那由多の軌跡:改』
ジャンル:ストーリーアクションRPG
販売:日本ファルコム
プラットフォーム:PlayStation 4
発売日:発売中(2021年6月24日)
価格:4378円(パッケージ版)/3960円(ダウンロード版)
CERO:B(12歳以上対象)

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