なしえなかった計画の反省に立脚
杉山社長が、「メリハリをはっきりさせた事業オペレーション」を明確に打ち出したのは、2020年度まで実施してきた前中期経営計画が未達に終わった反省がベースにある。
従来の中期経営計画では、8つの成長牽引事業があり、そこに対して成長投資を行ってきた。
杉山社長は、「うまく伸びきれなかった理由は、8つの成長牽引事業を定めたものの、これで売上高の80%を占めており、成長性が高いものと、低いものが混在していた。今回の重点成長事業の選定においては、グローバルに高い伸びが見込め、グローバルトップとして戦える力があり、成果が社会課題解決につながるものを精査した。そこに、より重点的にリソース配分をしていくことにした」という。
これまでの中期経営計画と大きく異なる姿勢で、成長事業を選択し、そこに投資をしていくことになる。
重点成長事業は、FA制御システム、空調冷熱システム、ビルシステム、電動化/ADASと、これらの事業を支えるパワーデバイスの5つに定めた。
「重点成長事業は、2025年度の財務目標を達成する上で、全社を牽引するものになる。集中的な成長投資を行い、売上げ規模や収益性を向上させる」とし、2025年度の売上高は2兆6000億円(2020年度実績は1兆8000億円)、5年間の年平均成長率は8%。 営業利益率は13%(同6%強)を目指す。
FA制御システムは、世界のモノづくりをリーディングカンバニーとして支え、空調冷熱システムは、省エネ性能の向上によって、社会の脱炭素化に貢献し、快適な暮らしを実現することを目指す。また、ビルシステムは、ビルや地域のスマート化により、全世界で住みよい街づくりに貢献する。そして、クルマの電動化は環境負荷を下げ、ADASは交通事故ゼロ社会を支えることになるという。加えて、パワーデバイスは、これらの重点成長事業だけでなく、三菱電機の様々なソリューションのキーデバイスとして、脱炭素社会の実現に貢献する事業になる。
一方で、育成事業/新規事業のなかで注目しておきたいものがある。それは、この領域に含まれた「データ連携、データ活用型ソリューション事業の拡大」である。
育成事業および新規事業は、現在の規模は小さいが、次の重点成長事業になる可能性を持った事業。三菱電機では、「統合ソリューション」事業という呼び方をしているが、これがこのなかに含まれる。
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