BMW流のおもてなし術が詰まった室内
オプションのBMW Individualアルミニウム・ハイグロス・インテリアトリム(7万6000円)とMスポーツシート(13万6000円)が取り付けられた室内は、かなり素敵なラグジュアリー空間。スポーツモデルというとカーボン加飾がお約束になりつつありますが、そうしないあたりにセンスの良さを感じます。シートに身をゆだねると、適度なコクピット感にときめくこと間違いナシ。シートは大きめで、体の大きな人にジャストフィット。ちなみにBMWモトラッド(2輪)の設計基準は180cmなのだそうで、体の大きな人にピッタリということは、一般的な日本人にはゆったり気味と感じることでしょう。
ステアリングは欧州スポーツモデルではあるあるのかなり太めで、手の平にシックリ。クルーズコントロールは左手側に用意されており、車線キープや前走車追従といった機能を完備。3眼カメラによる「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」は、実際に使うとあまりの快適さに驚くこと間違いナシです。
快適さという点では、乗車時にBピラーからシートベルトホルダーが出てくるの充実ぶりも見逃せない点。これは年配の方でなくてもうれしい配慮ではないでしょうか。
ナビゲーションをはじめとするインフォメーション系のローカライズ(日本語対応)はバッチリ。「ハイBMW」と言えば、音声認識が働く充実ぶりです。この面で不満を覚える人は少ないのでは? 素晴らしいのはメーターパネルの中央がマップ表示されるところ。アウディのヴァーチャル・コクピットのようなもので、国産車に多い交差点で標識表示するより分かりやすい気がします。
後席は2座で足元は狭め。タイトな空間で、感覚的にはBセグのハッチバックと同等といえそう。ここら辺はセダンであるM340i xDrive Coupeの方が快適なのは言うまでもありません。ですがエアコンの送風口のほか、USB Type-C端子を2系統用意するなど、装備はハッチバックよりも充実。
ラゲッジスペースは広大。もちろんSUVのような大空間は無理ですが、ゴルフバッグ2つはラクに入りそうです。後席を倒すことも可能で、さらなる容量を稼ぐことができます。
誰もが「駆けぬける歓び」を体感できる楽しい1台
「駆けぬける歓び」は、BMW全モデルで体現しているのは言うまでもないのですが、このM440i xDrive Coupeはその色がとても濃いモデルであることもまた、言うまでもなく。早い話「スゴく楽しい!」クルマに仕上げられています。
走り始めて最初に感じるのは、ジャストなボディーサイズと、素晴らしい足。BMWに乗っているという、しっかりとした重厚な乗り味と硬質さを感じさせながら、スピードバンプをはじめとする荒れた路面でも、しなやかに衝撃をいなしてくれるのですから、何も言うことがありません。「いいクルマに乗っているナァ」と心の底から思えます。
感動はシャーシに留まらず、シルキーシックスにもいえること。ほんのわずかなアクセルペダルの動きにも反応し、必要なパワーと素晴らしい質感が味わえます。これが高速道路やワインディングだけではなく、一般道の走行中でも応えてくれるのだから驚嘆。右足から「いいエンジンだなぁ」と至福の感覚が伝わるというわけです。
スープラRZやZ4と同じパワーユニットを搭載しているのですが、これら2台はフロントヘビーにハイパワーということもあってか、時折ピーキーな挙動を覗かせるのに対し、M440i xDrive Coupeは四駆ゆえか、安心してドライビングを楽しむことができます。充実した運転支援と相まって長距離移動はラクですし、行った先のワインディングも楽しめる。最高のロードゴーイングモデルとは、まさにこのことなのかと感心しきり。
お楽しみはスポーツモード。切り替えると、メーターの表示と共に、排気音が野太い音へと変化。シフトタイミングを上へと引っ張る方向で、怒涛の加速が楽しめます。アクセルペダルを抜くと、ブリッピングしながらシフトダウン。この演出には呆気にとられると共に、クルマ好きなら笑顔になること間違いナシ。
M440i xDrive Coupeの良さは、スタイリングもさることながら、スポーツカーほどストイックにならずとも走りが楽しめるという点。このあんばいのよさに長年クーペを作り続けてきたBMWの実力を知った次第。乗る前から良いだろうと予想していたのですが、その予想を遥かに超えるデキ栄えに脱帽。きっと乗れば誰もがほれるハズ。最初は「どうした?」と思ったバーチカルキドニーも、あばたもえくぼになってカッコよく見えることでしょう。私はカッコイイと思っています! ホントに!
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