GUIアプリの表示に必要なSystemディストリビューション
WSLgは、WSLディストリビューションとは別のコンテナーでSystemディストリビューションを起動し、GUI表示などをこちら側で動作させる。これは、
wsl.exe --system
で通常ディストリビューションのようにコンソールから入ることができる。
そこでディストリビューションなどを調べてみた。/etc/issueを表示させると、「CBL-Mariner」という表記が見える。カーネルは、WSL2のカーネルがそのまま使われていて、「/proc/version」などはWSL2ディストリビューション側と同じになる。
このSystemディストリビューションは、MicrosoftがAzure用に開発したディストリビューションであるCBL-Mariner(https://github.com/microsoft/CBL-Mariner)とWSLg(https://github.com/microsoft/wslg)から構成されている。なお、WSLg自体のバージョンは、/etc/version.txtで見ることができる。
単にWSLgのバージョンを調べるだけなら、各WSLディストリビューションにある/mnt/wslgを見ればよい。ここにSystemディストリビューションの/etcにあるものと同じ「version.txt」がある。
WSLgで日本語入力をするための作業していたら、以前、ほとんど同じことをしていたことを思い出した。それは、ChromebookのLinux環境である「Crostini」の日本語対応だ。Crostiniも日本語入力に対応していないため、やはりユーザーがfcitx、mozcなどをインストールする必要がある。その作業は、WSL2の日本語対応とほぼ同じなのである。
作業が同じようなものになるのはわかるとしても、どちらもまだローカライゼーションにはほとんど手がついていない状態であることを意味していると言える。ただ、Crostiniはタッチキーボードがまだ利用できないが、WSLgではタッチキーボードは利用可能で、わずかにリードしている状態とも言えよう。
さて、両者とも、LinuxのGUIアプリケーションの各国語入力は、どうするつもりなのか? 理想は、ホスト側の日本語入力がそのまま利用できることだが、先に到達するのはGoogleとMicrosoftのどちらだろうか。

この連載の記事
-
第508回
PC
Scalable Vector Graphics(SVG)そもそも何なのか? -
第507回
PC
Windows 11の「開発者モード」とは何か? -
第506回
PC
Windows 11は早くも来秋登場の26H2プレビューの準備が始まる -
第505回
PC
結構変化しているWindows 11のエクスプローラーの基本設定を見直す -
第504回
PC
新しいOutlookとOutlook Classic、そろそろ古いOutlookとExchangeの組み合わせは引退の頃合いか -
第503回
PC
機能が増えたこともあり、寄せ集めから統合化に進むWindowsの便利ツール「PowerToys」 -
第502回
PC
Windows 11でBluetoothのオーディオ新規格「Bluetooth LE Audio」を試す -
第501回
PC
Windows 11 Ver.25H2での変更点、新機能を整理する -
第500回
PC
Windows 11 Ver.25H2が完成した -
第499回
PC
Windowsでの致命的だが回復可能なエラーに備える手段を2つ紹介 -
第498回
PC
Windows Terminalの安定版V1.23が公開 設定UIが改良される - この連載の一覧へ













