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十数万円が一瞬でゴミに!?

冗談ではなく目の前が真っ暗になる恐怖……ピンを曲げてしまったRyzen 9 5950Xの修復を試みる

2021年06月10日 13時00分更新

文● 宮里圭介 編集● ASCII

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拡大には実体顕微鏡が便利だが
スマートフォンやタブレットでも代用可能

 ピン修正に使える文房具と一緒に用意しておきたいのが、拡大鏡。手で持つタイプは片手がふさがってしまうため、別途固定できるスタンドなども用意しておきたい。顔にかけられる、眼鏡タイプのルーペを使うのもオススメだ。

 個人的には、ルーペより実体顕微鏡のほうが作業が楽だと思っているが、普通に考えて、一般家庭にそんな特殊な光学機器はない。

 最近では液晶画面を備えた顕微鏡も安く売られているので、こういったものを活用するのもいいだろう。とはいえ、ピン修正のためだけに購入するのは少々ためらわれる。こんなときは、タブレットやスマートフォンの出番だ。

しっかりとした重さのある台に、スマートフォンやタブレットをのせるだけ。台から落としてCPUにダメージを与えないよう、テープなどで固定しておこう

 使い方はシンプル。適当な台にスマートフォンやタブレットをのせ、カメラ機能を使って画面に表示するだけだ。

 この例では大きめなマグカップにiPad mini 5をのせているが、これだけでも十分実用的だ。定規を置いて倍率を測ってみたところ、10mmが約17mm……つまり横幅が約1.7倍にまで拡大されていた。ここまで大きく見えれば、確認作業がぐっと楽になるだろう。

大きく曲がったピンの修正は「シャープペンシル」
ピンセットや針状のもので起こし、少しずつ曲がりを直す

 さて、準備が整ったところでいよいよピンの修正に入ろう。基本的な方針は、①ピンセットや針状のものである程度引き起こし、②シャープペンシルで慎重に角度を調整する、というものだ。

 少々見づらいが、修正している最中の様子を撮影してみたので、参考にして欲しい。

まずは倒れてしまっているピンを起こすため、針を押し込み隙間を広げるようにして引き起こす

針だけで最後まで戻すのは難しいので、ある程度戻ってきたら次はシャープペンシルの出番となる

シャープペンシル(芯は抜いておくこと)の先を曲がったピンに、かぶせるよう挿し込む

指先を小刻みに動かすようにして、少しずつ引き起こす。なお、この時一気に動かすことはせず、少し角度を戻したらルーペで確認し、変な戻り方をしていないかチェックすること

同じように、手前の2つ目のピンも修正したあと。最初と比べ、だいぶピンが元の位置に戻ってきているのがわかるだろう

わずかな傾斜は「カッターナイフ」の刃を当てて
周囲に合わせるよう押して微調整する

 さて、ある程度は戻せたとはいえ、ピンに傾きがあるため、ソケットに入らない状態だ。この修正にはピンセットとカッターナイフが活躍してくれる。

 今回のように角近くのピンであれば、ピンセットで周囲のピンごと挟んでやることで、傾きを修正していける。

 修正のコツは、挟んだ後で軽く左右に揺らすこと。ピンを曲げるほどの力はいらず、本当に軽くでいい。ピンの弾性で戻る範囲内で何度か繰り返していると、傾いているピンだけが少しずつ真っすぐになっていく。

対象となる1本ではなく、列ごとピンセットで挟むイメージ。これで軽く、わずかに左右に揺らすように動かす

カッターナイフを使う場合は、点ではなく線で押すイメージで。外側に曲がっている場合は、ピンを周囲のピンに合わせるよう押し込む

 角ではなく、内側のピンの傾きを直したいときも、カッターナイフが活躍してくれる。ピンの間に刃を入れて、軽く左右に動かしてやろう。

刃の側面を使って、ピンを列ごと押すイメージだ。ピン1本だけを修正するのではなく、まとめて修正する気持ちで

 なかなか傾きが戻らないからといって焦る必要はない。曲げすぎる方がよっぽど怖いので、少しずつ落ち着いて作業していこう。少し修正したらどのくらい角度が戻っているのかルーペで確認し、再び修正する……という作業を繰り返すことになる。

 なお、大きく曲がったピンの近くばかりに目が行くが、実は、離れた位置のピンも意外と傾いている。特に外周のピンは指が触れることも多く、内側に曲がりやすい。必ず横から見て、曲がったピンがないかを確認すること。もしあれば、カッターナイフなどで少しずつ修正していこう。

大きく曲がったピンを戻し、小さな傾きを修正している途中がコレ。最初の写真と比べ、だいぶマシになっているのが分かるだろう。これでもまだ傾きのあるピンが目立つので、更に修正は続く

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