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大変革期に振り返るMacのCPUとOSの歴史 第2回

【Macに搭載されたOSの変遷】ソフトウェアプレーヤーから本格OSに向けての歩み

2021年05月04日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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Mac OS 8のデスクトップ画面

モダンOSを目指したが挫折した「Mac OS 8」

 表面的には新しくなったSystem 7だったが、実はOSの中身のアーキテクチャは、初期のSystemの時代から、それほど大きくは変わらないものだった。そのころ世間では、「モダンなOS」ということがよく言われるようになっていた。そこで言うモダンとはどういうことか。一般的な単語の意味としては「現代的な」ということになるが、それは簡単に言うと信頼性の高い堅牢なOSという意味を持っていた。

 具体的には、メモリ保護機能やいわゆるプリエンプティブなマルチタスク機能を備えていることが最低条件となる。それにより、1つのアプリが不具合を起こしても、他のアプリやシステムへの影響が避けられる。こうした機能は、すでにワークステーションなどの高性能マシンでは当たり前のものだったが、もともとアプリプレーヤー的なところからスタートしているMac OSには備わっていなかった。

 アップルでも、そうした機能の実装に手をこまねいていたわけではない。実はCoplandというコード名で開発されていた当初のMac OS 8は、そうしたモダンなOSへの進化を図ったものだった。まったく新たに、そうした特徴を備えたOSを開発することは、実はそれほど難しくはない。

 しかし、これまでMac用として開発されてきたアプリや、周辺機器用のドライバーなど、膨大な資産を活かしつつ、同時にモダンな機能を備えたOSを開発するのは至難だった。開発作業は予想以上に難航し、ついにCoplandを満足な形で完成させることはできなかった。そしてアップルでは、従来のOSにさらに機能を追加して、モダンではないMac OS 8をリリースすることで、当面は妥協するしかなかった。

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