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MacのCPU変更がついに発表! 「WWDC 2020」特集 第11回

ハードもソフトも生まれ変わるMacへの期待が膨らむ

【WWDC20 基調講演】アップル、今後の大きな変革を暗示

2020年06月24日 16時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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 今年のアップルとしても初のオンライン開催となった年次開発者会議「WWDC」は、西暦の下2桁を末尾に付けてWWDC20と呼ばれる。何かの節目となるような、キリのいい数字だ。メインタイトルは「Full stream ahead」と付けられている。例によって重層的な意味を持つものと思われるが、表面的な意味としては、すべてのセッションがストリーミングによって提供されることを表しているのだろう。そして大きな川の流れを想像させるほど、内容的にも盛りだくさんというだけでなく、今後の大きな変革を暗示しているように思える。

 すでに世界中のメディアにまとめ的な記事も多く出ているので、ここは、私が個人的に興味を惹かれたトピックを中心に、その動きが何を意味するのか、また今後どのような影響を及ぼす可能性があるのか、可能な限り一皮剥いた考察を加えてみたい。

それでもMacは脇役?

 今回のWWDCのキーノートは、新たにARMコアを採用しアップル自身が設計するプロセッサー、Apple Siliconを搭載することになったMacがメインのトピックだったという声が一般的だ。本当にそうだろうか? 確かにそれは大きなトピックであり、ある意味ショッキングな話題ではあるが、キーノート全体の中に占める時間配分や発表の順番からすれば、必ずしもそうとは言えない気もしてくる。

 やはりキーノートの発表では、何をどういう順番で話したか、ということと、それぞれの話に割り振られた時間配分が非常に重要だ。言うまでもなく、それらは、この先1年のアップルの計画に基づいて綿密に計算されたものだからだ。それは詰まるところ、そこで取り上げられた製品やサービスから、アップルとしてどれだけの収益を得る見込みなのかということと直接的に結びついている。つまり、キーノート開始から早い時間帯に話されたことほど重要であり、それにかけた時間は、アップルとして注ぎ込むリソースの配分を反映したものと考えられる。

 それを頭に入れて、今回のキーノート全体を見渡してみよう。ここ2、3年、キーノート全体の長さは2時間15分を超えるのが普通だった。今回は、それが1時間48分ほどに収まっていて、むしろ短めだ。オンライン開催なのだから長くても構わないような気もするが、近年のキーノートは長すぎたという反省もあったのかもしれない。

 今回も、まず冒頭にCEOのティム・クックの話があった。時間は5分30秒ほどだ。その後は、大きく分けるとiOS系など、非Macの話がまず63分、その後で次期macOSのBig Surの一般的な話も含め、macOS系の話が39分だった。これだけを見ても、やはり現在のアップルとして、どうしてもMacは脇役的な存在であることがわかる。

 各OSの次期バージョンに関する時間配分だけに絞って、もう少し細かく見ると、iOSが26分、iPadOSが11分、macOSは17分だった。これを見ると、今年はmacOSが健闘していることは確かだが、これだけ話題があっても、なおiOSには及ばない。ちなみに、Apple Siliconがらみの話には、今挙げた純粋なmacOSの17分以外に22分ほど割かれていた。これもMacに関する話題としては長時間を確保した方だと言えるが、それでも次期iOSの26分には及ばないのだ。

連続的な変化と不連続な変化

 とはいえ、今年のキーノートは、Macにとって大きな転機となる変化が明らかにされた、記念すべきものであったことは間違いない。それは、それ以前の経緯からある程度想像可能な連続的な変化、言い換えれば正常進化だけでなく、それ以前の経緯とは不連続な、突然変異的な進化が発表されたからだ。

 思い返してみれば、Macに関してこのような大きな変化があったは、MacのCPUがPowerPCからインテル製に切り替えられたとき以来だろう。もう少し遡れば、Macとして伝統的な、いわゆるクラシックOSから、Mac OS Xに移行するときにも匹敵するようなインパクトが感じられる。

 そして、Macは当時のアップルの主力製品であり、Mac OS Xが発表されたときも、MacのCPUのインテル系への切り替えが発表されたたときも、まだiPhoneは存在していなかった。もちろん、アップルの会社としての規模も、今とは比べものにならないほど小さく、そうした転換が世の中に与える影響も限定的なものだった。今は全世界的に社会的影響の大きなiPhoneが存在している。そしてMacは、そのiPhoneと同じ系統のCPUを採用することになった。それを含めて考えると、今回発表されたMacに関する転換は、これまでのMac単独の進化とは、また違った意味と影響を持つようになると考えられる。

 いずれにせよ、いくらキーノートの前半に発表され、長い時間を確保していようとも、iOSやiPadOS、その他の非Mac製品に関する内容は、どちらかと言えば驚きの少ない正常進化に関するものと言える。それに対して、Apple Siliconがらみの話は、事前の噂を抜きにして考えれば、驚きをもって迎えられるべき、突然変異的な進化に関するものだ。これは、Macというアップルの1製品にとどまらず、今後のアップルの発展の方向性にも関わる重要な意味を持っていると考えるべきだろう。

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