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大変革期に振り返るMacのCPUとOSの歴史 第2回

【Macに搭載されたOSの変遷】ソフトウェアプレーヤーから本格OSに向けての歩み

2021年05月04日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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System 7のデスクトップ画面

新機能を多く盛り込んだ「System 7」

 初期のMacのOSとしてのSystemは、バージョン番号の付け方にユーザーを混乱させるようなものがあったものの、全体としては順調にアップデートを重ねていった。そのバージョン改定のきっかけには、大きく2種類があった。1つは、ソフトウェア自体に新しい機能を追加したり、発見された不具合を修正するためにリリースするもの。もう1つは新しいMacの機種が登場する際に、そのハードウェアの機能をサポートするためにリリースするものだ。

 現在のmacOSでは、年に1度大きなアップデートがあり、その間に細かなバージョンが変化していくので、バージョン改定のタイミングは昔とは異なるように見える。とはいえ、改定の根本的な要因として、ソフトウェアとハードウェアの2つある点は変わらない。

 さてそのSystemもバージョン6.0.xで、とりあえずの完成の域に達したような感もあった。この6シリーズは、1988年から1992年まで、1つのSystemのメジャーバージョンとしては最長に近い6年間も使われた。そのことからも、ある種の踊り場にたどり着いたようなものだったのがうかがえる。古くからのMacユーザーも、初めて使ったのがSystem 6.0.xだったという人が多いのではないだろうか。

 そして、その停滞感を打ち破るような形で華々しく登場したのが、1991年のSystem 7だった。このバージョンでは、ユーザーインターフェースが本格的にカラー化されて洗練されたものとなり、誰もがMacの新しい時代の到来を感じたものだ。CPUをはじめとするハードウェアの進化にも対応し、より安定した動作を実現した。これはSystem 7から始まったことではないが、複数のアプリケーションを起動したまま、瞬時に切り替えて使えるものとなっている。少なくとも操作感覚としては、今のOSと大差ないものになったと言える。

 すでに述べたように、このSystem 7.xの使われた期間もかなり長い。その間には、MacのCPUの68000系からPowerPCへの転換も経験している。また、途中でOSの正式な名前がSystemから「Mac OS」に変更されるという、いわばアイデンティティの危機も乗り越えた。それはアップルが、サードパーティにライセンスを与えて製造を許可したMacの互換機が登場したことと関係がある。その話も今回はスキップする。

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