なかなか収束しないコロナ禍の中、今年もまたアップルの新製品発表イベント「春の祭典」が開催された。もちろん完全オンラインでの開催で、イベントの様子はアップルのサイトやアップル公式YouTubeサイトで、誰でもいつでも観ることができる。一種の職業病なのだがこうしたイベントを観ると、発表された個々の製品やサービス自体よりも、むしろ何がどのような順番でどれくらいの時間をかけて発表されたかということが、まず気になってしまう。それによって、アップルがどこにどれだけ力を入れようとしているかが見えてくるからだ。
そこで、まずそのあたりのプライオリティーを確認したあと、印象に残った発表について私見を述べることにする。
アップルが最も注力しているのは新iPad Pro、次が新iMac
今回のアップルイベント全体の時間は、約1時間だった。イントロやエンドロールを含めると、正確には1時間1分3秒となる。その中で細かく挙げていけば、実に多くの「こと、もの」が発表された。それらを大きく3つに分けて順番に書くとすれば、「その他」「iMac」「iPad Pro」となるだろう。その他から始まるのも変だと思われるかもしれないが、こうした発表の場合、順番としてはもっとも重要なものが最後になるのが普通だろう。常にそうだとは限らないかもしれないが、意外性があって、発表するインパクトの強いものほど後にしたいと考えるのは当然だ。その逆にしたら、もともとそれほど印象に残らないものが、ますます霞んでしまうからだ。
その他に何が含まれるのかはとりあえず置いておいて、大きな3つの区切りに割り当てられた時間を確認してみよう。途中、プロモーションビデオのようなものが挟まれていたりして、厳密な割り振りを判断しにくい部分もあるものの、その他には約18分、iMacにも約18分、そして残りの約25分がiPad Proだった。順番からしても、割り振られた時間の長さからしても、今回の発表でアップルがもっとも力を注いでいたのが新しいiPad Proであり、次がiMacであり、その他のものをまとめても、その2つのいずれにも及ばないと考えられる。
この記事ではここから先、アップルの発表とは逆の順番で、つまり重要だと考えられるものから先に取り上げていく。幸いなことに、今回はその順番は筆者の関心の高さとも一致している。
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