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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第64回

LINNの新「KLIMAX DSM」から考えるDAC事情、汎用品からディスクリートDACの一般化へ

2021年04月06日 15時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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LINN OrganiKのFPGA使用イメージ

DACの選択肢が減る中、敢えて自社開発DACに取り組む

 こうした文脈の中で発表されたのが、新開発の「Organik DAC」だ。ちなみにOrganikは、Organic(有機的)という英単語に由来すると思われるが、語尾をわざとKにして訛りのような英語にしているのはイギリスでも田舎と言われるスコットランドの会社らしい遊び心であり、スコットランドの独立心と誇りを感じさせるところだ。

 Organikでは、こうした他社製のDAC ICの採用をやめて、FPGAと自社設計フィルターを使った、ディスクリートDACのアーキテクチャとなっている。ディスクリート(discrete)というのは「個別の、分離した」という意味の英語であり、既製品であるDAC IC(ワンチップの集積回路)を使わず、抵抗やトランジスタなどのパーツを個別に選択して、構成したDACなのである。アンプなどでもオペアンプのようなICではなく、トランジスタを組み合わせてアンプを設計したものをディスクリート構成と呼んでいる。これによりオペアンプやDACチッブといった既製品のICに制限されない自由な設計と限界を超えるような性能向上を果たすことが可能となる。ここは他社が採用するDACメーカーが限られていく中で、メーカー独自の差別化ポイントとなっていくだろう。

 なおDACの変更でもう一点考慮すべきことは、昨年10月の旭化成エレクトロニクスの半導体工場が火災に見舞われ、AKMチップが入手しにくくなったことがある。ただし、開発サイクルを考慮すると、Organikの発表が前倒しになった可能性は考えられるが、これが主因ではないだろう。

 LINNのOrganik DACの詳細はまだ明らかではない。FPGAとディスクリートのD/A変換回路を組み合わせたものであるとだけ紹介されている。FPGAはプログラミングの書き込みで、動作をカスタマイズできるICだが、LINNの海外発表によると、FPGAではアップサンプリングや精度の高いボリューム調整などが行えるとしている。

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