デジタルフロントドアの3つの段階
グーグル・クラウド・ジャパンの平手智行代表が、今年に入ってから積極的に使っている言葉が「デジタルフロントドア」である。
平手代表は、「ひとことでいえば、デジタルと従来型システムの仕組みをつなげるための入口がデジタルフロントドア。ビジネスの営みが物理的な世界だけで完結するのではなく、オンライン上でも利用者や顧客とつながるといったことがあらゆる産業で起こっている。このニーズはニューノーマルの時代において加速する。2021年は、この仕組みがますます重要になる」と位置づける。
「デジタルフロントドア」は、3つの段階で構成されるという。
最初の段階は、こうしたデジタル化のニーズそのものが顕在化していることを指す。
多くの企業でオンライン会議やオンライン商談が利用され、教育分野ではオンライン授業が積極的に活用され、実店舗よりもオンラインで購入する人も増加している。そして、医療分野では、オンライン診療の動きが活性化している。
「多くのユーザーや企業がデジタルを活用しており、そこにつながるには、デジタルフロントドアの入口を使わなくてはならない。ビジネスを物理的な世界だけで完結させたり、従来のビジネスとデジタルをつなぐだけでなく、デジタルとデジタルで顧客としっかりつながるための取り組みに向かうことが、デジタルフロントドアに向けた第1歩になる」とする。
第2段階は、デジタルフロントドアによって集まった顧客データを、より良い顧客体験の提供につなげるという取り組みだ。
「大量のデータを収集し、分析し、よりよいユーザー体験を提供できるかが重要な鍵になる。データの活用によって、顧客体験を向上させたり、サプライチェーンの高度化や最適化を実現したりといったことになる」とする。
ここでは、複雑なビジネス課題に対して、限られたリソースで、膨大なデータを的確に処理することが求められる。そこに、AIやML(機械学習)といったテクノロジーが重要な役割を果たすことになるという。
そして、第3段階は、人による物理的なプロセスを削減し、効率化を目指すことへと移行することだ。
「人による物理的なブロセスを削減し、より効率化を目指して、自動化を推進していく世界に入る。コロナ禍やニユーノーマル時代になり、DXのプロセスは高速化し、問題解決のためのテクノロジーの使い方にも長期的な変化がもたらされている。その動きはこれからますます顕著になっていく」とする。
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