中小企業情シス担当者のための“IPv6対応入門”2021年版第4回
LAN内のホストにIPv6アドレスを割り当て、IPv6インターネットに対応させる作業と注意点
オフィスネットワークの「IPv6対応」を完成させる
LAN内のホストにIPv6アドレスを自動割り当てする方法
それでは、LAN内のホストへのIPv6アドレスの割り当て方法について見ていこう。なお、IPv6アドレスについての基礎的な情報は以下の過去記事を参照してほしい。
●IPv6で使うアドレスは、IPv4とどこが同じでどこが違うのか
https://ascii.jp/elem/000/004/014/4014851/
オフィスネットワークには、PCやスマートデバイスなど多数のクライアントデバイスが接続される。接続されたホストにIPv6アドレスが自動的に割り当て/設定されるようにできれば、管理の手間も少なく便利だろう。
ただし、IPv4 LANとは異なり、ここでは各ホストにローカルIPアドレスではなくグローバルIPアドレスを割り当てることになる。ここでは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)から割り当てられるネットワーク識別子(プレフィックス)と、ユニークな(LAN内の他ホストと重複しない)インターフェース識別子を組み合わせてグローバルIPv6アドレスを生成し、各ホストに設定すればよい。
IPv4 LANの場合は各ホストへのIPアドレスの自動設定手段としてDHCPが用いられるが、IPv6の場合は大きく3つある。キャッシュDNSサーバーの自動設定機能と合わせて書くと、SLAAC+RDNSSオプション、ステートレスDHCPv6、ステートフルDHCPv6の3つだ。
詳細については以下の過去記事を参照してほしいが、SLAAC(StateLess Address Auto Configuration)はホスト自身がユニークなインターフェース識別子を生成してIPv6アドレスを自己決定する仕組み、ステートフルDHCPv6は各ホストに割り当てるIPv6アドレスをサーバー側で中央管理する仕組みという違いがある。なおステートレスDHCPv6は、IPv6アドレスの自動設定部分にはSLAACを使う。
●Webサーバーの設定を変更して「IPv6対応サイト」にする【前編】
https://ascii.jp/elem/000/004/020/4020486/2/
今回はクライアントPCなど、固定IPv6アドレスの必要がないホストを対象としているので、SLAACまたはステートレスDHCPv6を使えばよい。この両者間では、キャッシュDNSサーバーの自動設定機能としてSLAACのRDNSSオプションを使うか、DHCPv6を使うかの違いがある。
SLAAC+RDNSSとステートレスDHCPv6のどちらを選ぶかは、ルーターが備える機能やホスト側(クライアントOS)の対応状況による※注。クライアントOSが最新のWindows 10やmacOSであればどちらにも対応しているが、Windows 8.1以前はRDNSS非対応だ。一方で、Androidは最新のものでもDHCPv6には対応していない。もっとも、非対応のホストはIPv4で接続されるだけなので、ここでは「どちらを主とするか」で考えるとよいだろう。
※注:歴史的にはDHCPv6が先に存在し、後からRDNSSオプションが登場したため、こうしたやや複雑な対応状況が生じている。なお、運用管理がやや複雑になるが、仕様上は同じIPv6 LANでSLAAC+RDNSSとステートフルDHCPv6の両方を使うこともできる。
ルーターの設定方法については、各メーカーのWebサイトやマニュアルを参照してほしい。v6プラス/v6プラス 固定IPサービスの場合、以下のページに対応ルーターの一覧とオンラインマニュアル(設定方法)へのリンクがまとまっている。
●JPNEの対応ホームゲートウェイ、ルーターの一覧
・v6プラス:https://www.jpne.co.jp/service/v6plus/
・v6プラス 固定IPサービス:https://www.jpne.co.jp/service/v6plus-static/
なおクライアントホスト側は、通常は標準設定のままで自動設定がなされ、IPv6インターネットへのアクセスができるようになるはずだ。ホストをLANに接続した後に、リンクローカルアドレス(fe80::/10)以外のグローバルIPv6アドレスが設定されていることを確認する。また、インターネット上のIPv6接続確認サイトにアクセスして確認するのも簡単でよいだろう。
●JPNE IPv4/IPv6接続判定ページ
http://kiriwake.jpne.co.jp/