東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)とNTTコミュニケーションズは3月24日、スマートシティーの実現に向けたデータ利活用の取り組みとして、現実世界をデジタルデータで仮想的に再現する「デジタルツイン」を、ビルなどの建物空間を対象に生成する実証実験を発表。本実験は、3月中に開始する予定。
GUTPでは、BIM(Building Information Modeling)をはじめとした建築物データの活用手法や、クラウドを用いたデジタルツイン・アプリケーションを構築するための研究開発を行なっている。またNTT Comは、データの収集・蓄積・活用までを一元的実現できる「Smart Data Platform」を提供しており、同サービスを活用したデジタルツインの社会実装を目指す。
建築、設計、ビルサービスなどの分野から多くの企業・団体が参画する共創環境を実現するためには、アプリケーション構築技術の標準化が急務としている。今回の実証実験で、両者共同で実際にBIMを用いたアプリケーションを構築することにより、最適な構築プロセスと手法に関する知見を蓄積し、標準化への提言に向けて取り組む。
本実験において、GUTPは実証および研究計画の策定、技術検証の実施を担当。NTT Comは、実証場所、センサー、ロボットなどの実証環境の提供に加えて、Smart Data Platform環境の構築を担当する。
さらに、作成したアプリケーションを用いて、実際にデジタルツイン空間上で、現実世界にある清掃ロボットを制御するなどの実験を、NTT Comの共創環境である「Smart City Lab(仮称)」にて実施する。想定している検証プロセスは以下の通り。
(1)ジオメトリー生成
LiDARなどを用いた点群を取得するとともに、それらのデータを活用することでBIMを生成し、デジタルツインに必要なジオメトリーを抽出する。
(2)メタデータ生成
BIMに付帯する空間構成や属性データ、テクスチャー情報といったメタデータの自動取得を試みる。
(3)IoTデバイスとの連携
IoTデバイス(建物内センサー)の位置と、BIMや抽出したジオメトリー上の位置を紐づける。
(4)アプリケーション開発
ジオメトリーやIoTデバイスを用いて、清掃ロボットとビル内のカメラなどの設備を連動させる機能を開発する。