停電時に懐中電灯の場所を示す印としてや、逃げ道の案内板としてなど防災にも使われている蓄光(ちっこう)。光を蓄えることで、光を当てるのをやめても光り続ける性質があり、その性質を活かして様々なものに応用されています。
今回は、そんな蓄光の性質に触れながら、光るスライムや光る文字、光るフィギュアを作るといったお家で子どもたちと楽しめる実験・工作をご紹介します。それでは今日もレッツサイエンス!
■自己紹介
科学のお姉さんこと五十嵐美樹(twitter:@igamiki0319)です。全国各地で子どもたちにむけた科学実験教室やサイエンスショーなどを開催しています。
ワークショップやサイエンスショーが終わった後に実験材料などをお問い合わせいただくことが多いため、本連載では、これまでの科学実験教室で人気の高かった科学実験・科学工作を例に、お家で手軽に子どもと一緒に楽しめる科学に関する情報をお届けしていきたいと思います。
●蓄光とは?
蓄光性を持つ物質に光を当てると、光を当てるのをやめても、光り続けることが確認できます。これは、光を当てると物質内の電子が高いエネルギーの状態(励起状態)になり、光を当てるのをやめると時間をかけて低いエネルギーの状態に戻りますが、戻る際にエネルギーが光として放出されるためです。周りが暗くなっても、この放出される光を確認できるということですね。
●蓄光シートで、光る文字をつくってみよう!
まずは、そんな蓄光の性質を使った蓄光シートを使って、光る文字を作る実験・工作をご紹介します。様々な色や種類の蓄光シートで比べてみたり、組み合わせてみたりすると面白いです。
【用意するもの】
・蓄光シート ※ネットなどでお買い求めいただけます
・鉛筆
・はさみ
・画用紙
・ブラックライトや太陽光、蛍光灯
【実験の手順】
蓄光シートの光る面の裏側に、鉛筆を使って光らせたい文字やマークを下書きします。実際に光らせるとき、文字や形は左右反転するので注意してください。
下書きの線に沿って、はさみで蓄光シートを切ります。
大きな画用紙などに、切った蓄光シートを並べて貼ります。※今回使用した蓄光シートは裏がシールになっているため、そのまま貼りました。
電気を消してみると、蓄光シートが光っていることが確認できました。蛍光灯などの光を蓄えて発光しているため、電気を消しても光り続けるのです。
今回使用した蓄光シートでは、ブラックライトを近くで当てると、さらに光りました。他にもスマートフォンのライトなど、身近にある様々な光を色々な方法で当てて光り方を比べてみると、面白いと思います。
ちなみにサイエンスショーでは、大きな蓄光シートを切らずに、ブラックライトを部分的に当てることで、光る文字を書く演目などもしています。光を当てた部分だけ光るので、どんな文字を書くのか子どもたちが当ててくれたり、なぜブラックライトを当てた部分だけ光るのか考えてくれたりします。
私は実験道具に囲まれながら生活しており、サイエンスショーを終えて寝る時に電気を消すと、光を蓄えた蓄光シートだけが発光して少し不気味な感じになりますが、これも幻想的で個人的には気に入っております!(笑)
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