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「INNOVATION LEAGUE コンテスト」の受賞者がスポーツ庁に集結

スポーツの可能性拡大を 先鋭4社が室伏長官とガッツリ約束

2021年03月23日 11時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

提供: SPORTS TECH TOKYO

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今後は医療や福祉分野への活用を目指す

 「イノベーションリーグ大賞」に選ばれたのは、「nnf」と「アシックス」が共同開発した『EVORIDE ORPHE(エボライド オルフェ)』だ。

 本製品は、nnfの「ORPHE CORE 2.0」を搭載したスマートシューズ。内蔵の加速度センサーとジャイロセンサーによって取得したデータから、ランナーの足の動きやメカニズムを分析し、データを可視化する。そのデータを基に、AIを通じてパーソナルコーチングを提供するという内容だ。

no new folk studio 菊川裕也氏

 nnfとアシックスは3年に渡りスマートシューズの共同研究を行なっており、「EVORIDE ORPHE」はその集大成。nnfの菊川氏は「イノベーションリーグ大賞」受賞という形で高く評価されたことは、開発者として大きな励みになると話す。

 もともとnnfはダンサー向けに音と連動してソールが光るスマートシューズを開発しており、すでにメーカーでも名を知られた存在だった。その後、nnfが2019年に「アシックス・アクセラレーター・プログラム」という、スタートアップとの事業連携プログラムで最優秀賞に選出。これが共同研究を始めるきっかけとなった。

nnf菊川氏「日本に開発拠点を持ち、日本で世界レベルの意思決定ができるアシックスと組めたことは何よりもうれしかった」

 アシックスの原野氏は、「nnfは、スポーツをいかに楽しいものにするかというエンターテインメントへの考えに長けていた」と、nnfを早い段階から高く評価していたひとりだ。

 協業の理由について原野氏は、「得られたデータをいかに価値のあるものに変化させるかが重要となる中で、nnfと協業することでより良いものがお客様に提供できるのではと考えた」と語る。一方、新しい試みという事もあり、スマートソリューションの具現化に向けては多くの価値検証が必要であり、展示会や実証実験を通して検証を進めてきたという。

 そして数年間にわたる検証と開発の末に「EVORIDE ORPHE」という製品を生み出し、今回「イノベーションリーグ大賞」を受賞。菊川氏は「私たちの取り組みが社会に認められたと感じた。アシックスから事業面でも資金面でも多くの投資を受けていることもあり、まずは初速の期待に応えることができたのではと安堵の気持ちもある」と話す。

 同製品はサイト「Makuake」で先行販売し、そこでも多くの支持を集めた。「初日に予想していた以上の反応があり、今まで行なってきたことは正しかったと証明された気分になった」と原野氏は語った。

アシックス 原野健一氏「予想以上の支持は自信につながった」

 今後について菊川氏は、「今回生み出したスマートシューズの仕組みは、他のスポーツや医療分野への応用もできる」とし、引き続きスポーツへの活用を深掘りしつつ、医療や福祉への横展開も目指すという。例えば、 歩行解析の技術をリハビリに用いるなどだ。スポーツと医療をつなぐ取り組みについては社会的意義が大きく、今後は官民一体となっての展開も期待される。

 菊川氏は「靴を履くだけで健康診断が行なえるような、そんなポジティブな技術を目指したい」と将来の展望を語った。

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