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「INNOVATION LEAGUE コンテスト」の受賞者がスポーツ庁に集結

スポーツの可能性拡大を 先鋭4社が室伏長官とガッツリ約束

2021年03月23日 11時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

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防災スポーツを日本のレガシーとして世界に広めたい

 スポーツを社会課題の解決に活用している取り組みを讃える「ソーシャル・インパクト賞」は、「シンク」が行なっている「防災スポーツ ~スポーツで災害に強くなる防災プログラム」が受賞した。

 「防災スポーツ」は、「楽しんで、競い合って、身体で覚えること」をテーマに、スポーツの持つ遊戯性や運動性を活用し、「もしもの時に生き抜く力を育む」という取り組みだ。同社の代表である篠田氏は、災害前、災害時、災害後の3つのシーンで役立つ防災行動を競技化したスポーツプログラム「防リーグ」や、地域の防災を歩きながら学ぶイベント「防災ウォーク」などを実施。災害に備える環境作りに励んでいる。

シンク 篠田大輔氏

 篠田氏は阪神・淡路大震災を経験しており、これが「スポーツで災害に備える」という発想につながった。大学の教授や防災の日常化をテーマに活動しているNPO団体らと共に防災プログラムを考える際は、当時の経験を生かしている。篠田氏は「この取り組みを通して結果的にスポーツの価値を高めることができるとうれしい」とも話す。

 災害時(防災活動含む)にどのような行動を取ればいいのか、どのようなアクションが役立つのかは、頭で覚えていてもなかなか行動に移せないもの。そこで篠田氏は、「スポーツ化して体で覚えるようにすれば」と考えた。しかし、災害時の行動を競技化するのは難しく、2年、3年の間はトライアルアンドエラーの繰り返しだったと話す。

 苦労の末に考案された「防リーグ」と称された競技は、毛布を担架代わりに負傷者を運ぶ障害競走や、支援物資を効率的に運ぶ動きが学べる運搬競争など災害前の備えのプログラムも含め全部で7つ。いずれもスポーツとして楽しめるよう工夫されており、子供はシンプルに競技を繰り返して体で覚え、大人は楽しむと共に、その動きの重要性を理解できるという内容になっている。

篠田氏「災害が起こらないことが一番だが、もしもの時に備えて防災の知恵や技を学んでほしい」

 防災スポーツが楽しめるイベントはこれまで数多く実施されており、サッカー元日本代表の巻誠一郎氏の協力による共同イベントが行なわれるなど、活動の幅も広がっている。企業(商業施設、保険会社、住宅メーカーなど)との取組は、イベント開催や協業(商品開発など))で拡大しているものの、教育機関や自治体などでの導入拡大を今後目指していきたいと考えている。

 とはいえ、少子高齢化で助けないといけない人は増える一方で助ける人は減っている。助ける側である若い世代にどのように防災の知識を広げるかが重要なポイント。こうした難しい課題を超えるには、スポーツ選手やスポーツ団体と協力が不可欠だ。篠田氏は、「特にスポーツチームは地域に根差した活動を行なっているため、防災スポーツを訴求してもらうことで、若い世代にも防災の意識が根付くのでは」と考える。

 また、防災とスポーツを組み合わせた教育制度を作ることも企画中だ。座学だけでなく実技での試験も交えることで、知識だけでなくスキルも取得してもらおうという考えだ。新しいスポーツビジネスとしても魅力的な活動になるだろう。

 今後の展望について篠田氏は、「防災スポーツをさらに広めるべく、さまざまなネットワークを広げていきたい」と話す。特に前述のように、スポーツ界の巻き込み、教育機関や地域での展開が広がっていない状況のため、行政とも連携した活動を目指しているとのこと。さらに、企業と協業してのワークショップづくりや商品開発などビジネス面での活動も広げている。今回の受賞や、東京オリンピック、パラリンピックの開催を機に、自然災害の多い日本から「防災スポーツ」を文化、レガシーとして世界に広げていきたいと語った。

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