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最新パーツ性能チェック 第332回

Samsungが低価格SSD市場に参戦!

Samsung初のDRAMレスM.2 SSD「980」の実力は?

文●藤田 忠 編集●北村/ASCII

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 3月10日、DRAMやNANDフラッシュのトップベンダーで、SSD市場御三家の一角を成すSamsungが、初のDRAMバッファレスとなるPCI Express 3.0対応NVMe M.2 SSDの「980」を発表した。

Samsung SSD 980

 同社が“Value-NVMe”と呼ぶクラスで、M.2 SSD激戦区となるエントリーモデルで250GBモデル(MZ-V8V250B/IT)、500GBモデル(MZ-V8V500B/IT)、1TB(MZ-V8V1T0B/IT)をラインアップ。日本サムスンの国内代理店ITGマーケティングより、3月12日より発売予定になっている。

 想定売価は、低コストPC自作のメインストレージにベストな500GBモデルで7980円、データ保存や写真、動画の保存も余裕の1TBモデルで1万4480円と、なかなか魅力ある価格帯になっている。

 とくに1TBモデルは注目で、同じDRAMレスで低コストPC自作の定番M.2 SSDのひとつであるWestern Digital「WD Blue SN550 NVMe」のパフォーマンスを大きく上回るリード3500MB/sec、ライト3000MB/secというスペックを備えている。

 今回はそんな1TBモデル「MZ-V8V1T0B/IT」を入手できたので、各種ベンチマークでその実力を見ていきたい。

Samsung初のDRAMバッファレスM.2 SSDとなる「980」シリーズ。1TBの「MZ-V8V1T0B/IT」で、パフォーマンスをチェックしていこう

 Samsung初のDRAMレスNVMe M.2 SSDの「980」シリーズだが、NVM Express 1.2で仕様に追加されたメインメモリーの一部を間借りして、外部バッファとして使用する「HMB(Host Memory Buffer)」を利用し、コストダウンを図りつつ、パフォーマンスを維持している。この「HMB」採用の製品は珍しくなく、2019年ごろからエントリーNVMe M.2 SSDの多くに採用されている機能なので、ある意味、不安なく使えると言える。

「980」シリーズは、メインメモリーに64MBをバッファとして間借りする「HMB」を利用する

 最大リード3500MB/sec、ライト3000MB/secのパフォーマンスを発揮する「980」シリーズのコントローラーは、珍しく非公開になっているが「Samsung in-house Controller」と、これまでと同じくSamsung製のようだ。

 NANDフラッシュは、他社で言うところのTLC NANDフラッシュになる「Samsung V-NAND 3bit MLC」を採用。そのほか150万時間のMTBF(平均故障時間)や、最大600TBのTBW(総書込容量)、5年保証と耐久性や保証面は、メインストリームの「970 EVO PLUS」や、7GB/secを実現する次世代ハイクラス「980 PRO」と同じになっている。

M.2 Type 2280を採用する「980」。表と裏面には、Samsungおなじみのラベルが貼られている

Samsung SSD 980のラインアップと主要スペック
型番 MZ-V8V250B/IT MZ-V8V500B/IT MZ-V8V1T0B/IT
容量 250GB 500GB 1TB
フォームファクター M.2 Type2280
NANDフラッシュ Samsung V-NAND 3bit MLC
コントローラー Samsung in-house Controller
DRAMキャッシュメモリー
インターフェース PCIe Gen3.0×4、NVMe1.4
シーケンシャルリード 2900MB/sec 3100MB/sec 3500MB/sec
シーケンシャルライト 1300MB/sec 2600MB/sec 3000MB/sec
ランダムリード(QD1/T1) 1万7000IOPS 1万7000IOPS 1万7000IOPS
ランダムライト(QD1/T1) 5万3000IOPS 5万4000IOPS 5万4000IOPS
ランダムリード(QD32/T16) 23万IOPS 40万IOPS 50万IOPS
ランダムライト(QD32/T16) 32万IOPS 47万IOPS 48万IOPS
MTBF(平均故障間隔) 150万時間
TBW(総書込容量) 150TB 300TB 600TB
ハードウェア暗号化 AES256ビット暗号化、TCG Opal 2.0準拠、IEEE-1667準拠
保証期間 5年間
想定売価(税込) 5480円 7980円 1万4480円

 そのほか、Samsung製SSDのSLCキャッシュ機能である「Intelligent TurboWrite 2.0」も搭載している。ただ、これまではTurboWriteの割り当て容量や、容量を超えた際のリード・ライト性能を公表していたが、「980」では総容量のみの公開になっている。

 TurboWriteの容量は250GBモデルで45GB、500GBモデルで122GB、1TBで160GBになっており、500GBと1TBモデルは最上位の「980 PRO」よりも容量が割り当てられている。

Intelligent TurboWriteの仕様
  250GB 500GB 1TB
TurboWrite総容量 45GB 122GB 160GB

1TBモデルも2チップ構成の「980」を眺める

 まずは外観から「980」をチェックしていこう。構成はコントローラーとNANDフラッシュメモリーの2チップとシンプル。基板裏面には熱伝導性に優れる銅箔を積層したラベルが貼られており、熱の放熱性を高めている。この辺はDRAMレスのエントリークラスと言え、抜かりなしといったところだ。

1TBモデルの「MZ-V8V1T0B/IT」。M.2端子側と固形側ともに、基板が若干凹んでいる点も、これまでの同社製NVMe M.2と同じだ

基板表面の製品ラベルを剥がすと保証が受けられなくなるので、側面から覗いてみた

基板裏面のラベルには銅箔の層があり、NANDフラッシュの放熱性を高めている

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