Intel MacとM1 Macで内蔵SSDやThunderbolt 3の転送速度に差があるかを検証してみた
Intel MacBook Airでは内蔵SSDを圧倒
M1 MacBook Airではライトが遅くなる
では、ベンチマークアプリを利用したテスト結果を紹介していこう。今回利用したベンチマークアプリは、AJA Video Systemsの「AJA System Test Lite」と、Blackmagic Designの「Disk Speed Test」の2種類だ。また、ベンチマークアプリのテスト設定は以下の通りだ。
ベンチマークアプリのテスト設定 | |
---|---|
AJA System Test Lite | Resolution:1920x1080 HD-1080i Test File Size:1GB Codec Type:10bit YUV |
Disk Speed Test | Stress:5GB |
まずは、SSD X5を利用した場合のAJA System Test Liteの結果だ。以下に示したのがその結果だが、Intel MacBook Airではリードが2561MB/Sec、ライトが2217MB/Secを記録。いずれも公称の速度には届いていないものの、申し分ない速度が発揮されている。なにより内蔵SSDを圧倒する速度であり、非常に快適に利用できると言える。
それに対しM1 MacBook Airでは、リードこそ2572MB/SecとIntel MacBook Airとほぼ同等の速度だったものの、ライトは1364MB/Secとかなり遅かった。SSD X5は、高速なPCIe/NVMe SSDに特有の、アクセスが続くと発熱によって速度が低下する可能性があるため、テストの間には十分な時間を取って熱による影響がないよう配慮してテストしているが、試行回数を増やしてもライト速度はほぼ変わらなかった。
この傾向は、Disk Speed Testでも同様だった。Disk Speed Testの結果は以下のとおりで、Intel MacBook Airではリードが2360.3MB/Sec、ライトが2039.6MB/Secを記録。AJA System Test Liteよりも1割ほど遅い結果となっているが、速度的には十分に高速だ。
それに対しM1 MacBook Airでは、リードが2603.3MB/Secと、AJA System Test Liteの結果よりもわずかに高速となった。しかしライトは、AJA System Test Liteとほぼ同じ1322.8MB/Secを記録と、こちらもかなり遅い結果となっている。
続いて、870 EVOを6基装着したRAIDボックスの結果だ。こちらも結果の傾向はSSD X5と大きく変わらなかった。AJA System Test Liteの結果は、Intel MacBook Airではリードが2598MB/Sec、ライトが1975MB/Secを記録。870 EVO単体の6倍まではいかなかったものの、リードは5倍近く、ライトも4倍近くで、SSD X5に匹敵する速度となっている。
それに対しM1 MacBook Airでは、リードが2043MB/Sec、ライトが1369MB/Secとなった。ライトが遅いという点はSSD X5と同等だが、リードもIntel MacBook Airに比べて遅いという印象だ。
Disk Speed Testの結果も同様の傾向。Intel MacBook Airではリードが2198.0MB/Sec、ライトが1669.1MB/Secを記録したのに対し、M1 MacBook Airはリードが2246.8MB/Sec、ライトが1305.1MB/Secだった。
これらの結果を見る限り、M1 MacBook Airでは、Intel MacBook Airと比べて、TB3接続の外付けの高速ストレージを利用する場合に、ライト速度がやや遅くなる傾向があると考えられる。
この原因は現時点では不明だが、可能性としては、Apple M1に統合されているTB3インターフェース、またはApple M1向けTB3ドライバーのどちらかにあると考えられる。また、これらベンチマークアプリをM1 MacBook Airで利用した場合の問題という可能性も十分考えられる。
現時点で結論づけるのは難しいが、少なくとも今の段階では、M1 MacBook AirではTB3接続の高速外付けストレージ利用時にライト速度がやや遅くなる場合がある、というのは頭に入れておいても良さそうだ。