まとめ:第10世代Coreプロセッサーが粘るゲームもあったが、
RX 6800 XTの性能をフルに引き出すにはRyzen 5000シリーズが好適
以上で検証は終了だ。今回検証に用いたゲームは完全に筆者の好みで選択したため、どんなゲームでもこの通りになるとは言う訳ではないが、少なくとも今回試した12タイトルでは、明らかに第10世代Coreプロセッサーが強かったと言えるゲームはBorderlands 3程度で、それ以外はほぼRyzen 5000シリーズ有利か、差がないかのどちらかとなった。
Radeon RX 6800 XTの旨み、特にInfinity Cacheの効くフルHD〜WQHDでゲームを楽しむ場合は、Ryzen 5000シリーズは非常に良いパートナーとなるだろう。第10世代Coreプロセッサーは以前はゲーム向きのCPUであるという結論を出せたが、Ryzen 5000シリーズ、とりわけRyzen 5 5600Xの強さに勝てないゲームもあるなど、設計の古さを感じざるを得ない。
次のグラフは、今回試した12タイトルのゲームで、解像度フルHD時に各CPUの出した平均fps比をレーダーチャート化したものである。ただ全部1つのチャートにすると見辛いことこの上ないので、CPUの物理コア数でざっくりと3グループに分けた。即ち物理6コア/8コア/10コア以上という具合になっている。各グループにおけるRyzenの結果を100%とした場合、他のCPUのゲームパフォーマンスの高さ/低さをチェックしたい。
CPUのコア数が多いグループほど、第10世代CoreプロセッサーとRyzen 5000シリーズの差が小さい。Assassin's Creed ValhallaやWatch Dogs: LegionといったCPUの影響をあまり受けないゲームではどのCPUも接戦である。Civilization VI、F1 2020については例外で、ここでは第10世代Coreプロセッサーが弱く、Ryzen 9 5900Xよりも5950Xの方が強いという結果が出ている。
8コアCPUのグループでは、Core i7-10700Kのグラフの形状がより歪になり、Ryzen 7 5800Xよりも内側に入り込んでいる。つまりRyzenが強くなるシーンが増えてくるということになる。
6コアCPUのグループでは、Core i5-10600KのグラフはRyzen 5 5600Xよりもさらに内側に入り、より歪な形状となった。Core i5-10600Kだけが低いフレームレートを出したことも多々あったことを考えれば納得のいく結果だ。よほどコスト的なメリットがなければ、Core i5-10600KはハイパワーGPUとの組み合わせには適さないという言い方もできるが、現時点におけるRyzen 5000シリーズの最安モデルでも、RX 6800 XTの性能の足を引っ張りにくいと言いかえることもできる。
そこで、Ryzen 5000シリーズ同士で比較したらどうなるかをまとめたのが次のグラフである。Ryzen 5 5600Xを100%としている。
明らかに形状に違いが見られたのはCivilization VIだけで、他の11タイトルについてはどのCPUもほとんど同じ形状になっている。厳密にいえばCall of Duty: Black Ops Cold WarやDirt 5等で微妙な凹凸が見えるが、Ryzen 5 5600Xに対して最大でも5.4%の差しか付いていない。
Ryzen 5 5600Xを買っても、RX 6800 XTの性能を上位CPUと同じように引き出せる、という点には改めて驚かされる。もちろん画質を思い切り下げた場合は違った傾向が見えてくる可能性はあるが、RX 6800 XTの性能限界に挑むような状況では、どのRyzen 5000シリーズを使っても良い、という知見が得られた。もちろん、裏でOBSやDiscordを動かすというような使い方ではコア数の多い上位CPUの方が楽なことは間違いないので、Ryzen 9 5900Xや5950Xを否定する訳ではない点に注意されたい。
ただご存じの通り、インテルは今春にRocket Lakeこと第11世代Coreプロセッサーをリリースし、さらに年末〜来年にかけてAlder Lakeこと第12世代Coreプロセッサーを出しゲームキングの座を奪還する動きを見せている。果たしてインテルがまた巻き返すのか、AMDが防衛に成功するのか、勝負の行方は分からない。
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