時計フェアはジュネーブに統合へ!?
こうして時計フェアは「バーゼルワールドの自滅」で、今後はスイス時計の「発祥の地」であるジュネーブへと、事実上統合されることになりそうです。
ただ今年2021年のジュネーブサロン、つまりWWGもオンラインでの開催が決定。そして1月28日に、バーゼルワールドを離脱した10のビッグブランドの参加がアナウンスされました。
しかし、10のビッグブランド以外の中堅、小規模ブランドのWWGへの参加はアナウンスされておらず、彼らは時計フェアという発表の場を失ったことになります。
一方、バーゼルワールド事務局の親会社であるMCH社は2020年夏、新たな経営体制の下で、「アワー・ユニバース」という新たな時計フェアを、同じ会場で開催すると発表しました。現時点で著名な時計ブランドで「アワー・ユニバース」への出展を表明した著名な時計ブランドはなく、また告知されていたフェアの開催時期も、現時点で再考中になっています。おそらく2021年の開催は不可能でしょう。
新体制をアピールする、「アワー・ユニバース」のPR動画
リアルな体験の再評価
このように新型コロナウイルス感染症は、数十年以上も続いてきた、2大時計フェアを軸にしたビジネスモデルを大きく変えました。
ただ興味深いのは、この感染症の拡大以前に囁かれていた「時計フェア時代遅れで、もういらない」という意見が見られなくなったこと。つまり、リアルな時計フェアの価値、時計というアイテムの特別さが再認識されたことです。
素材にこだわり職人技を凝縮して製作される高級時計の質感や美しさは、オンラインでは、ヴァーチャルなメディアではわからない、伝えることができない。新型コロナウイルス感染症による時計フェアの中止は、時計業界の関係者に、改めてこの事実を教えてくれました。
新型コロナウイルス感染症の最大の影響、功績は、もしかしたらこのことなのかもしれません。
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