自らニューノーマルを実践し、PCを開発
会見で齋藤社長は、「2018年5月1日のDay1を誓いの日として、Day1000には、FCCLが成長した姿をみせると約束した。コンピューティングのさらなる進化、人に寄り添ったコンピューティングの実現に取り組み、コンピューティングを、社会に適用し、実装、浸透させること、それにより、お客様の生活を、コンピューティングで、よりよくすることを目指してきた。コロナ禍においては、オンラインの活用が増え、個人の時間、仕事の時間の垣根がない新たな価値観が求められるニューノーマライフに対応する必要があった。
FCCLの製品やサービスを通じて、すべての人たちに、ニューノーマライフをもっと楽しんでほしい。企業使命として、もっとその気持ちに寄り添いたい。1000日目の今日、それを宣言したい。今後も最新の商品やサービスをお客様が快適に体験できるインターフェースを提供し続ける」とし、「FCCLは、今後も、パソコンをはじめとしたコンピューティング技術を通じて、『快適で優しく美しい暮らし』の実現に向けて、さらに多様化するニーズにいち早く対応していくとともに、『世界一、お客様に優しいコンピューティング会社』になることを、今日、約束する」と述べた。
また、基本理念として「人を思う哲学」、行動指針として「生活者発想」、「チャレンジ精神」の2点を打ち出し、「一度目の失敗は失敗ではない。それは経験である。だが、2度同じ失敗をしたら、それは本当の失敗である。社員にはそう言っている。以前からFMVは、先を読みすぎて、時代を先取りしすぎた製品になることが少なからずあった。だが、チャレンジは大いに結構である。尖った製品こそがFCCLの技術力を高め、幅広いお客様の快適につながる」などとした。
さらに、レノボとのジョイントベンチャーのメリットとして、世界屈指の調達力やスケールメリットを生かしたことを示したほか、香港や台湾などアジア6カ国で、レノボの販売網を活用して、LIFEBOOK UHシリーズの販売を開始したことなどを紹介した。
そのほか、名古屋大学 低温プラズマ科学研究センターと共同で進めてきた農業分野での取り組みについても説明。酒米の稲に低温プラズマを照射することで、収穫量を15%高めることができる研究において、プラズマ照射の制御に、FCCLのコンピューティング技術が応用されている例を示した。
会見では、自らもFMVシリーズの開発に携わった富士通の山本正已シニアアドバサイザーのほか、米マイクロソフト デバイスバートナーセールス担当バイスプレジデントのPaul Donovan氏、日本経済新聞社 常務取締役の渡辺洋之氏、米インテル レノボグローバルアカウントマネージャーのLeighton Phillips氏、NECパーナルコンピュータ/レノボ・ジャパン社長のDavid Bennett氏、インテル日本法人社長の鈴木国正氏、AMD グローバルアカウントセールス担当コーポレートバイスプレジデントのWei Li氏、シャープディスプレイテクノロジー会長の桶谷大亥氏、川崎フロンターレ社長の藁科義弘氏、角川アスキー総合研究所 主席研究員である遠藤諭氏などがメッセージを送った。
なかでも、NECパーナルコンピュータ/レノボ・ジャパンのBennett社長のコメントが話題を集めた。「先日、FCCLの社員には、社長なのに、通訳者に間違われた」というエピソードを切り出しながら、「FCCLにとっては、この1000日間は長い期間であったと思う。そのなかで素晴らしいプロダクトを出してきたことは尊敬する。世界最軽量ノートPCも素晴らしい」と発言。だが、手元にあったUHシリーズを持ちながら、「ちょっとバッテリーが切れそうなのでPCを交換する」と言って、NECパーソナルコンピュータのLAVIE Pro Mobileを取り出し、「こちらは24時間もバッテリーで駆動するので、まだ大丈夫」と述べた。
その上で、「同じレノボグループのなかで、競い合ってきたことがPC業界を活性化し、イノベーションを加速させている。これからもよきライバルとして、お互いにがんばって盛り上げていきましょう」と呼び掛けた。
最後に、LAVIE Pro Mobileを手に取りながら、「これもうちょっと軽くならないのかな」と、対抗心を燃やしていた。
2019年8月に、NECパーソナルコンピュータが行ったPC-8001の発売40周年会見では、FCCLの齋藤社長がビデオメッセージでサプライズ登場。「NECのことを『お兄さん』と呼ばせてもらう」と発言し、「LAVIE Pro Mobileは、軽くてしっかりしているが、弟は世界最軽量の製品を出しており、新たに、2in1ノートPCでも世界最軽量を出すことができた。これもひとえにお兄さんのお陰である」と、刺激的なメッセージを送り、会場を沸かした経緯があった。今回は立場が入れ替わった形でのメッセージとなった。
齋藤社長は今回のBennett社長の発言を受けて、「挑発的なコメントがあった。受けて立つ。次のときを待っていて欲しい」としながら、「こうしたことが業界を育てていく。これからも変わらずにやっていきたい」と述べた。