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NETGEAR製品導入事例

「M4300」「GC728X」でスタジオの基幹ネットワーク部分を10ギガ化、無線LAN環境も確実に

ライデンフィルムのアニメ制作現場を支えるネットギアの製品

2021年01月28日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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コアとエッジのスイッチを刷新、基幹部分を10ギガネットワーク化

 有線ネットワークの基幹部分を10GbE化するために、まずサーバールームにはネットギアのフルマネージスイッチ「M4300-24X24F」を配置した。SFP+×24スロット、10GBASE-T×24ポートを搭載する1Uスイッチだ。同じラック内にある2台のファイルサーバーとは、それぞれ10GBASE-T×2本で20Gbps接続(リンクアグリゲーション)してある。

 「M4300はSFP+が24スロットありますが、20台導入したエッジスイッチとの光ファイバ接続でほぼ埋まっている状態です」

サーバールームに設置された「M4300-24X24F」。光ファイバはフロア内のスイッチ20台と接続されている

ファイルサーバーは2台。1台あたり12TB×16本=168TB(RAID6構成)の実効容量を持つが、1作品あたり10TB程度を消費するため、新たにペタバイトクラスのサーバー導入計画もあるという

 スタジオのフロア内にはアップリンク10GbEスイッチの「GC728X」が20台、テーブルごとに設置されている。こちらはSFP+×2スロットと1000BASE-T×24ポートを備えるスイッチで、サーバールームのM4300とは光ファイバで10GbE接続を行い、業務PCとは1GbEで接続している。

 またGC728Xは「NETGEAR Insight」クラウド経由で一元管理できるスイッチだ。馬場氏は、導入や運用管理のさまざまな場面でInsightを活用していると紹介した(詳しくは後述する)。

エッジスイッチの「GC728X」。サーバーとのアップリンクは光ファイバで10GbE接続、PCとのダウンリンクは1GbE接続だ

 こうして基幹部分を10GbEに増強したことで、ネットワーク環境に対する社内からのクレームは「確実に減った」と馬場氏は語る。ちなみに、ネットワークの強化でファイルサーバー上の映像データを直接再生することも可能になり、会議などでサーバーからのストリーミング再生の方式でのチェックを行うこともできるようになったという。

デジタル作画の増加に合わせ無線LANも増強、「WAC510」を8台追加

 ライデンフィルムでは同時に、11ac対応の無線LANアクセスポイント「WAC510」も8台、追加導入している。従来から会議室に導入していたものと合わせて12台の構成だ。有線LANに加えて無線LANも強化した理由は「タブレット端末」だと、馬場氏は説明する。

 「タブレットを使ったデジタル作画に移行するアニメーターさんが増えているほか、紙で作画する方でも、タブレットに資料を表示させながら作業するケースは多くあります。タブレットを有線接続するのは手間がかかりますから、無線LANも用意して、ファイルサーバーにアクセスできるようにする必要がありました」

 無線LANは業務用とゲスト用のSSIDを用意し、業務利用する端末のみ業務用ネットワークへの接続を許可しているという。「もっとも、ゲストWi-Fiのほうも会議用タブレット端末などの接続により社内利用率が高い状態にあります。(業務ネットワークを圧迫しないよう)帯域制限が簡単に設定できるのは良い点ですね」。

 ちなみに、アクセスポイントの設置密度は一般的なオフィスよりも高めに設計されている。デスクの上に棚があり、左右もパーティションで仕切られるなど遮蔽物が多い環境のため、無線LANの電波が減衰しやすい。そこで、ネットギアがシミュレーションを行ったうえでアクセスポイントの設置位置を提案した。現在は、これで十分かどうかを検証している段階だという。

 「以前試した他社製品では、共通のSSIDでアクセスポイント間を端末が移動すると、その切り替え処理(ローミング)がうまくいかないケースがありました。WAC510は途切れることなくスムーズにつながっています」

原画(作画)デスク。各席が大きなパーティションで仕切られているため、アクセスポイントの設置密度を通常よりも高めた

Insightで「誰でも」「どこからでも」管理できるネットワークを実現

 馬場氏自身は学生時代からネットギアというメーカーを知っており、特にコンシューマー向けの安価な製品というイメージが強かったという。

 「正直、以前は“安かろう悪かろう”の印象も持っていたのですが(笑)、実際に導入してみると、個人や小規模向け製品はもとより法人向け製品も過不足なく動いてくれています。同じ性能クラスの他社製品と比べるとかなり安いですし、導入当初の想像以上に満足しています」

 ネットギア製品を採用した理由の1つとして、「誰でも設定/管理ができる」Web GUIやInsightアプリへの対応があるという。入社した当時のIT担当者は馬場氏だけであったため、コマンドラインで設定する古いタイプのネットワーク機器だと、ほかのスタッフに業務を引き継ぐうえで運用の知識が必要となり、支障が出てしまう。

 「昔の機器は、リファレンスなどを見ながら1行ずつ、コマンドラインで設定していました。これをGUIに変えないと、結局は自分だけしか設定できないネットワークになってしまいます。将来的に新しく入った人にも難しい勉強なしで引き継げる環境にしておきたい、という点は重視しました」

 特に、GC728XやWAC510が対応しているInsightはさまざまな場面で活用しているという。たとえばGC728Xを導入するうえでは、スマートフォンのカメラでQRコードを撮影するだけで設定が可能になるInsightアプリが役立った。

 「スイッチ20台に固定IPアドレスを設定する作業では、台数が非常に多かったのでアプリを使いました。アプリを使わないとなると、まずはDHCPでスイッチに割り当てられたIPアドレスを調べ、そこにブラウザでアクセスして固定アドレスに書き換える、という作業を20回も繰り返すことになります。やっているうちに、どれがどれだかわからなくなりそうですし(笑)」

 また運用開始後も、InsightのWebコンソールやアプリを通じてネットワークの稼働状態を監視しているという。馬場氏は特に、トラフィック量や接続デバイス台数の「統計機能」が便利だと語る。スタジオは24時間稼働しているが、馬場氏が24時間張りついて監視しているわけにはいかない。ネットワークが適切に稼働しているか、不審な端末が接続されていないか、データ持ち出しなど不審なトラフィックが発生していないかといったことも、GUIで簡単に確認できると話した。

 「クラウド管理機能も、今年の(新型コロナウイルス感染拡大という)状況になってから多く使うようになりました。わたしはいま、基本的に在宅勤務なのですが、ネットワークの管理作業は9割方、在宅でできます。前もってクラウド管理サービスを導入し、運用できていたのは大きかったと思います」

* * *

 実は、ライデンフィルムではVPNルーター「BR500」も5台調達済みだ。全国のスタジオ間でデータをやり取りする拠点間VPNを構築するために購入したが、導入のタイミングを見計らっているところだという。BR500もInsightに対応しているので、導入すれば拠点間のトラフィックも可視化できる。

 また今回、基幹部分を10GbE化した東京スタジオのネットワークについても、さらに今後の拡張を考えていると馬場氏は話す。

 「今のところ社内需要は満たしていますが、トラフィックは増え続けています。今後、デジタル作画に移行するアニメーターさんがさらに増えればトラフィックも増えますから、10GbE環境を拡充しなければならないでしょう。『10ギガの課題はコスト』だと考えているので、ネットギアにはこれからも、広範に導入しやすい価格帯の10GbE製品を提供していってもらいたいですね」

(提供:ネットギア)

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