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10Gネットワークの冗長構成にはコストパフォーマンスの高い10Gスイッチが必須

三重大学、基幹事務システムの10ギガNW拡張にネットギア「M4300」導入

2020年12月18日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 国立大学法人 三重大学では2020年夏、財務会計や学務管理といった大学の事務業務を支えるITシステム基盤の基幹スイッチをリプレースし、10Gネットワーク(10ギガNW)化を進めるにあたって、ネットギアのフルマネージスイッチ「M4300シリーズ」を採用した。フル10Gスイッチとして圧倒的にリーズナブルなM4300の製品価格や豊富なラインアップ、ネットギアの充実したサポートが採用の鍵になったという。

 今回は三重大学 情報基盤室の牧野和人氏、亀山史氏と、同大学のシステム導入運用をサポートしているニッセイコム 中部支社の諏訪隆夫氏、池尾俊典氏に、従来のネットワークが抱えていた課題やM4300採用決定の経緯、ネットギアに対する印象などをうかがった。

三重大学 学術情報部 情報・図書館チーム 情報基盤室 係長の牧野和人氏(左)、主任の亀山史氏(右)

大学の事務局業務を支える基幹システム、その中心にあるスイッチ

 牧野氏、亀山氏が所属する三重大学の情報基盤室は、大学事務局内における業務システムのITインフラ全般、および事務職員が使用する600台超の業務PCについて導入や保守を担当する部署だ。そしてニッセイコムは、事務局への財務会計パッケージの納入と運用や、情報基盤室のサーバー/ストレージ/ネットワーク/バックアップの納入、構築、運用保守を行っている。

 財務会計、人事給与、学務管理といった大学事務局の基幹業務システムは、3台の物理サーバーと3台のストレージで構成される仮想基盤(VMware vSphere環境)で稼働する仮想マシンによりホストされている。これらのシステムを主に使うのは約600名の事務職員だが、100台以上ある仮想マシンの中には教務システムなど、全学の教員や学生が利用するシステムも含まれると、牧野氏は説明する。

情報基盤室が管理するサーバーラックの一部。物理サーバー3台構成で仮想マシン100台以上が稼働する基幹システムの仮想基盤も収容されている

 また、主に亀山氏が担当しているのが、およそ600台ある職員用PCの維持管理業務だ。ここではWindowsの「移動ユーザープロファイル」機能を利用しており、ユーザーデータやデスクトップ環境の設定などは中央のサーバーで集約、保管する仕組みとしている。これにより、職員はどのPC端末からログインしても自分専用の業務デスクトップ環境が使える仕組みだ。また、それらの端末のWindows Updateを一元管理するWSUSサーバーも運用している。

 今回リプレースの対象となったのは、8本のラックで構成される事務局ITインフラの中心部分を担う基幹スイッチだ(具体的なネットワーク構成は後述する)。牧野氏は、「もともと利用していたスイッチの導入から10年近く経過しており、リプレースのタイミングが近づいてきたので、新しいスイッチの検討を開始しました」と語る。

三重大学 情報基盤室メンバーの皆さん(前列)と、システムの納入や構築、運用をサポートするニッセイコム 中部支社 システム本部 システム第2部 第2課 課長代理の諏訪隆夫氏(後列右)、同課 主任の池尾俊典氏(後列左)

課題は「10Gネットワーク範囲の拡張」と「耐障害性の確保」

 旧スイッチの更新タイミングがきっかけではあったが、それと同時に、これまでのネットワーク環境にあった課題の解消を図りたいという思いもあった。牧野氏は、大きく2つの課題があったことを説明する。

 まずは「10Gネットワーク範囲の拡張」だ。従来のネットワークでも、基幹スイッチと各ラックスイッチの間は10G化されていたが、それぞれのラック内はまだ1G接続だった。そして取り扱うデータ量が増大するなかで、1G接続では容量不足を感じることも多くなっていた。

 最も大きな問題だったのはバックアップ処理だ。情報基盤室では日々の基幹システムバックアップに加えて、BCP対策として週に1回、システム全体をテープバックアップして遠隔保管する運用を行っている。その総容量は圧縮済みでも30TB近くに及び、1Gネットワークでは処理に時間がかかりすぎていた。

 同様に、仮想マシンを稼働させたまま物理サーバー間で移動させる「VMware vMotion」処理を行ううえでも、ラック内接続への10G拡張は必須と考えていた。

 もうひとつの課題は、ネットワークにおける「耐障害性の確保」である。このシステム基盤は大学事務業務の中枢を担っており、ネットワークがダウンすると各種業務システムも、職員のPC端末も使えなくなってしまう。

 従来のネットワークでも基幹スイッチは冗長化しており、リングネットワークを構成して耐障害性は確保していた。だが、リング構成を採用した結果として取り扱いが複雑なものになり、「実際に障害が発生した際、解決するのにすごく苦労したことがありました」と、牧野氏は振り返る。

 「その経験から『あまり複雑なことはやめたほうがいい』と考えて、今回はシンプルに作りました。また、従来の基幹部分は10Gネットワークを光ケーブルで構成していましたが、ここもUTPケーブルのほうが扱いやすいので見直すことにしました」(牧野氏)

 なお、耐障害性を確保するうえでは「コスト」の問題も考えなければならない。ネットワーク機器や経路の冗長化は必須と言えるが、予算は無尽蔵にあるわけではない。コストと得られるメリットのバランスが重要だ。

“10ギガ×UTPケーブル×冗長化スタック”でも現実的な価格だった「M4300」

 リプレースに伴うネットワーク設計やスイッチ機種選定、提案はニッセイコムが担当した。最終的に新たな基幹スイッチとして選ばれたのは「M4300-12X12F」だ。このスイッチを2台、スタック化して導入している。

ネットギアのフルマネージ10Gスイッチ「M4300-12X12F」。ハーフラックサイズの筐体に、10GBASE-Tポート×12、SFP+スロット×12を搭載している

 実はこのシステム基盤では、5年ほど前から10G対応ラックスイッチとして「XS728T/XS716T/XS712T(XSシリーズ)」や「S3300-52X」といったネットギア製品を段階的に導入していた。そのためネットギア製品の特徴は理解していたが、今回はあらためてゼロベースで、他社製品も含めた比較検討を行ったという。

 ニッセイコムの諏訪氏は、他社製品との比較検討で最も大きかったのが「価格差」だと説明する。とくに冗長化が前提となると、製品の価格差も2倍になる。したがって価格は大きなポイントだ。

 「ほかに2社の製品を比較検討したのですが、いずれも(UTPケーブルを使う)10GBASE-T対応がまだ十分ではありませんでした。それらの製品の場合、SFPスロットにトランシーバーを挿す方式になってしまうため、1ポートあたりの単価が10万円を超えます。必要なポート数を考えると、とてつもない金額になってしまう。その一方でM4300-12X12Fは、10GBASE-TとSFPを12ポートずつ備えており、定価でも1台66万円。2台をスタックして冗長化しても、現実的な価格に収まりました」(諏訪氏)

 また、ハーフラックサイズなので2台を1Uに設置することができ、ラックスペースを圧迫しない点も評価しているという。

 「製品を納入する側としては、お客さんのラックを目一杯使うわけにはいきません。そのため、最初からハーフラックサイズのスイッチがあれば理想的だと考えていました。カタログでM4300-12X12Fを見つけたときは、思わず『これだ!』と(笑)」(諏訪氏)

ラック設置された「M4300-12X12F」(上から2段目)。ハーフラックサイズのため、2台を1Uに収めることができた

 性能面や機能面などでも比較検討したが、M4300のアドバンテージはゆるがず、最終的にニッセイコムから三重大学へは「ネットギアのスイッチ一本で(M4300のみで)提案しました」と諏訪氏は語る。

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