ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第598回
最後のAtomとなるChromebook向けプロセッサーのJasper Lake インテル CPUロードマップ
2021年01月18日 12時00分更新
連載596回で予告したインテルのCES関連の発表であるが、イッペイ氏のレポートにもあるように、大部分はモバイル向けTiger Lakeの新SKU(Core vProやEvo vPro、それとCore 35HシリーズやSpecial Edition)の話題で占められており、デスクトップ向けはあまり新情報がなかった。その乏しい新情報の話を少し拾っておきたい。
Rocket Lakeでは予想通り
Core i3がラインナップから外れる
まずRocket Lakeだ。いまだに詳細な発表時期は未定のまま(第1四半期中とだけアナウンスがあった)であるが、ラインナップがCore i9/i7/i5のみになることが明らかにされたのが1つ目の情報である。
2つ目であるが、AMDのRyzen 9 5900Xを相手にRocke LakeベースのCore i7を利用してMetro Exodusのベンチマークツールを利用して性能を比較したところ、Rocket LakeベースのCore i7の方が高速という結果が示された。
ということで、Rocket LakeベースのCore i7はRyzen 9 5900Xより高速というアピールなのであるが、実はMetro Exodusの場合、Ryzen 9 5900XよりRyzen 7 5800Xの方が高速だったりするというあたりが少し引っかかる。
KTU氏のRyzen 7 5800X/Ryzen 9 5900XのレビューではMetro Exodusは取り上げていなかったので、筆者のベンチマーク結果で恐縮だが、1080pにおける平均フレームレートは下表のようになっている。
Metro Exodusでのベンチマーク結果 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU | フレームレート | |||||
Ryzen 5 5600X | 126.9fps | |||||
Ryzen 7 5800X | 127.7fps | |||||
Ryzen 9 5900X | 126.8fps | |||||
Ryzen 9 5950X | 125.8fps | |||||
Core i9-10900K | 129.1fps |
やはりGeForce RTX 3080との組み合わせの結果であるが、インテルのベンチマーク環境と違うのは下記の2つで、仮にプリセットをHighにすればAMDの方のフレームレートももう少し上がるはずだ。
- メモリーが32GB(これは性能にほとんど影響しない)
- 描画プリセットがUltra(これが大きく影響する)
それはともかくとして問題は、Metro Exodusの場合は以下の影響がある。
- 1080pの場合、CPUの処理性能がわりとシビアに性能に出やすい。というよりも、GeForce RTX 3080との組み合わせではCPUがボトルネックになりやすい。
- マルチスレッド性能はあまり影響なく、シングルスレッド性能がフレームレートに影響する(つまりゲーム内部のCPU処理はあまりマルチスレッド化されていない)
- そもそもCore i9-10900Kと比較しても、Ryzen 5000シリーズは若干のビハインドがある
本来ならRyzen 7 5800Xで比較すべきところをRyzen 9 5900Xにしたあたりでもう若干の意図を感じる(Ryzen 7 5800Xならもう少し性能差が縮まっただろう)し、インテル系に有利なMetro Exodusを選んだのも当然インテルに有利なベンチマークを選んだと判断していいだろう。
ちなみに筆者のテスト結果では、Borderlands 3では著しくインテル系が不利な結果だし、KTU氏のHorizon Zero Dawnの結果を見ると、Ryzen 9 5900X vs Core i9-10900KやRyzen 7 5800X vs Core i7-10700Kはどちらもインテル側が平均フレームレートで10fps以上下げているわけで、こうしたインテル系に不利なベンチマークがRocket Lakeでどこまでリカバーできた(あるいはAMDを上回った)かを示してほしいところである。とりあえず今回のデモ結果は「まぁこういう数字もある」という参考程度に考えるのが妥当だと筆者は考える。
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