さらなる進化を遂げた日本のロケット
さてさて、これまで宇宙船だの探査機だののお話はお送りしてきましたが、それを宇宙に送り届けるために欠かせない“ロケット”については、さらっと触れてきたのみでした。なので、今回はこの“ロケット”に注目してみたいと思います。というか、“いざ宇宙へ!”となった時に、出発時点で我々が最初に目にするのはこのロケットですよね? 探査機などはその先端内部に格納された状態です。そう、ロケットは、“地球上から宇宙空間に生物や機器を輸送するための手段”、つまり乗り物なんですよね。私たちが目的地に行く際に電車や自動車を使うのと同じで、人工衛星や探査機を目的地まで向かうための軌道に持っていくための乗り物です。なので、燃料とエンジンで動くということについては、ロケットも自動車もなんら変わりがないのです。ただ、“宇宙空間に到達しなければならない”という点で、地球上とは異なる環境に生物や機器を運ばなければならないため、ちょっとばかし仕組みが違うのです。だからこそ“すごい”ってのもありますが。
実は今年度(2020年度)、日本の誇るH-ⅡA/Bロケットに次ぐ基幹ロケットとなる『H3ロケット』の打ち上げが予定されていました。しかし、ちょっと前にエンジンの技術課題が見つかったことで、来年度へと繰り越されました。これが某ウイルスの影響だったら、ウイルスをグーで殴りたいところでしたが、そもそもミクロな存在を殴れるのかという課題はまだしも、ロケットの技術的課題であれば、それこそクリアーしなければなりませんね!
H3ロケットは、先のH-ⅡA/Bロケットとは異なり、設計の概念をもとから見直したロケットになります。H-ⅡA/Bロケットは、その前のH-Ⅱロケットの改良版なんですね。AとBの違いは“輸送力”です。H-ⅡBロケットは、ロケット1段目のエンジンが2基あることと、フェアリング(ロケットの先端部分で、この中に人工衛星などが入っています)の形状です。Aに比べて、より重くて大きなものを運べるんですね。よーく見ると、先っぽの形がちょっと違うんです。くびれがあるほうがBです。これ、テストに出るんで覚えておいて下さい。嘘です。出ませんし、H-ⅡBロケットは今年退役しました。
このH-ⅡA/Bロケットのすごいところは、なんといっても信頼性です。これまでにH-ⅡAロケットは42回打ち上げられ41回成功、H-ⅡBロケットにおいては、9回の打ち上げすべてが成功しています。これはすごい成功率ですよね! そしてこの信頼性が次のH3ロケットにも継承されていくのです。
ではでは、H3ロケットはどう変わったのでしょうか?H3ロケットは、先ほどの“高信頼性”に加え、“柔軟性”と“省コスト”をコンセプトに設計されています。
続いて、ロケット本体はどう変わったのでしょうか? やっぱり気になるのは外見ですよね?
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