スピードを出さなくても街を流すだけでも楽しい
美環さんはフルカウルのスポーツバイク好きですが、かといってガンガン飛ばすのではなく「バイクで街乗りするのが好き」なのだとか。そこで今回はワインディングやサーキットではなく、青山周辺の市街地をCBR600RRで走ってもらうことにしました。このモデル、他紙ではサーキットで全開走行をしたレビューが多いのですが、街乗りはほぼ皆無。ですが実際に購入される方は、圧倒的に街乗りが多いでしょうから、現実的なのでは、と思った次第です。なお走行モードは最も穏やかだというモード3を選択しています。
「やっぱり前傾がきつかったです」というのが美環さんの最初の感想。「走っている時はいいのですが、停車している時、私の体では支えるのが大変ですね。信号停止中にボタン操作しようとすると、つま先立ちでは車体が安定しないのでお腹でも支えました」だそう。「足つきはCBR650Rとあまり変わらないかな。でもCBR650Rは、それほど前傾はきつくないですね」とライディングポジションの違いはきちんとある模様。
「走る前まで、ちょっとアクセルをひねったらウイリーするかと思ってヒヤヒヤしたのですが、そういうことはありませんでした。とても運転しやすかったことに驚きました」
「あとアシストスリッパ―クラッチをはじめ、操作が軽めであまり疲れない印象を受けました。そしてトルクがあるためか、高いギアでも低速で結構ねばります! これには驚きました。凄い!」
「試乗車にはオートシフターがついていたのですが、これが本当にラクで。街乗りだとシフトを頻繁に変えますから、長時間のライディングで疲労感が大きく変わると思います。クラッチレバーはホント、発進と停止時しか使わないですね。回転数が合わず強いシフトショックが起きたり、エンジンブレーキが急激に効いたりするのかな、とか思ったのですが、そういったこともありませんでした。これは絶対に欲しいアイテムですね」
「扱いやすさの面で驚いたのは、車体が軽く感じるんですよ。車重194kgとCB400 SUPER FOURより軽量で、見た目より軽く感じるんです。車体のバランスがよいのでしょうか。そのことに驚きました」
「私は体重が軽いので、バイクメーカーからするときっと規格外なので乗り心地に関して言えば、どのバイクを乗っても硬くて。標準状態のCBR600RRも例外ではありませんでした。自分が乗るとしたら、サスペンションを柔らかくしたり、なんとかしてローダウンして足つきをよくしたいですね」
【まとめ】サーキットだけでなく街乗りも楽しめるスーパースポーツ
カッコよさと、想像とは異なる扱いやすさに驚いた美環さん。「CBR600RR欲しいですね。このバイクに乗ってサーキットを走ったら楽しいと思いますし、なにより普段の街乗りがとっても楽しいかも。みんな振り向いちゃうでしょうね(笑)」とかなり気に入った様子でした。
ホンダモーターサイクルジャパンの広報担当者によると、CBR600RRは女性ライダーに好評なのだとか。「CBR600RRは扱いやすいサイズで押し引きや引き起こし時の軽さを感じていただけると思います。電子制御によるサポートもありますし、オプションのグリップヒーターは、冷え性の方にもおススメのアイテムです。そのためか、多くの方から『スーパースポーツのテイストを存分に楽しめながら、扱いやすさもある好バランスモデル』との評価を頂いております」というのも納得です。試乗後「カッコいいなぁ。いいなぁ」と物欲しそうにCBR600RRを見つめる美環さんの姿が印象的でした。
Hondaが掲げた「トータルコントロール」というコンセプト、レースベースの車両としながらも、高いポテンシャルを日常でも思い通りに操れるジャストサイズのスーパースポーツという話に偽りナシ! 「サーキットで戦えるスーパースポーツを、毎日の道で乗れる喜び」を与えながら「のんびり走ることもできる」ことに、Hondaの凄さと恐ろしさを感じずにはいられません。
ハイオク専用車とはいえ、自然吸気エンジンでリッター200馬力を達成したことに驚き。本当に少し前のレーシングエンジンと言っても過言ではありません。思えばインテグラに搭載されたDOHC VTEC機構内蔵B16A型エンジンでリッター100馬力を達成して約30年。ほぼ同じ排気量である軽自動車の2倍近いパワーを、小さいバイク用エンジンから出力する時代が来てしまいました。
2024年には一層厳しくクリーン化が求められるユーロ6への移行が決まっています。さらに2030年になると、ドイツをはじめとする欧州の一部でガソリンエンジン搭載車の販売が禁止される予定。CBR1000RR-R FIREBLADEやCBR600RRといった可能な限りパフォーマンスを絞り出した高性能バイクは、ユーロ5時代(20年から23年末まで)が、最後になるかも。究極の内燃機関、エンジン搭載バイクを存分に楽しむことができる1台を、今のうちに手にし、生涯乗り続ける日が来ているのかもしれません。