テレワークをはじめ、自宅にいる時間が多くなった2020年。座る時間が多くなったことから運動不足が気になってきた人も多いのでは? 筆者もその一人で、最近体が重たくなったような。そこでネットで調べると、有酸素運動としてサイクリングがイイそうです。
ですが「自転車ガチ勢じゃないし、坂道登るのキツイし、もうちょっとライトに始められないものか」という思いも。そのような事を編集部で話をしていたら「電動アシスト自転車を試してみては? クルマもバイクも乗ってるから大丈夫でしょ」との提案が。タイヤが付いていれば乗れるでしょという乱暴なフリではありますが、実際興味はあるので、ヤマハ発動機の「YPJ-TC」をお借りして都心部を走ってみました。
電動アシスト自転車はファミリー向けだけじゃない!
ヤマハ発動機の「YPJ-TC」でカッコ良く走る
ヤマハ発動機が世界新商品として電動アシスト自転車を初めて販売したのは1993年のこと。今では同社の代表モデル「PAS」に乗るお父様お母様の姿を見かけない日はないほど普及しました。それゆえ、ヤマハ発動機の自転車といえばPASの印象が強くなったのも事実。筆者も乗る前まで「ママチャリのような自転車でしょ? ちょっとスポーツ目的とは異なるのでは?」と思っていました。ですが、届いた電動アシスト自転車は、カッコいいシティバイクではありませんか!
ヤマハ発動機はお買い物や通学にピッタリのPASシリーズのほか、ロードバイクやマウンテンバイクといったスポーツタイプの「YPJ」シリーズという2つのラインアップを展開しているのです。今回試乗するのは、そのYPJシリーズの「YPJ-TC」というモデル。価格は33万円(税込)。ちなみに、TCとはツーリングクロスの略で、通勤はもちろんロングツーリングや、キャリアへオプションのサイドバッグを取り付けることでキャンプからツーリングまでこなせるモデルとのこと。
YPJ-TCには、PASとは異なる高いケイデンス(足の回転数)、スポーツ自転車用のコンポーネントに対応するスポーツ自転車向けのドライブユニット「PWseries SE」を搭載しています。有酸素運動にはこのケイデンスが重要です。1分あたり90回転を保って走行するのがよいそうで、「PWseries SE」は自転車の本場であるヨーロッパのサイクリストから高評価を得ているとのこと。もちろん急坂でもしっかりとアシストしてくれるのは言うまでもありません。
スポーティーなフレームながら、街中でのストップ&ゴーが多いシーンでもまたぎやすく、足着き性も良いので快適。自身に最適なフレームサイズを体格にあわせて選択できます。ちなみにサイズはS、M、Lの3種類が用意されています。
フレームのダウンチューブに取り付けられたバッテリーは着脱可能。自転車をコンセント近くに持って行くことなく家の中で充電できます。1回の充電時間は3.5時間で完了。アシストパワーによって異なりますが、満充電で一般的な使い方の場合、112km(スタンダードモード)の走行を可能としています。
ハンドルバーはT型。グリップ部は握りやすく、それでいて力の入りやすいエルゴノミクス形状を採用。変速機は前2段、後ろ9段の計18段。自転車の世界では有名なシマノ製で、スムーズな変速が可能です。ハンドルステムの左側には「コンパクトマルチファンクションメーター」と呼ぶ、液晶ディスプレーが取り付けられていました。本体部の電源ボタンをオンしてから、スイッチユニット側に設けられた大きな2つのボタンで5段階の走行モードを、セレクトボタンでトリップメーター/平均車速/最大車速/残りアシスト走行可能距離/バッテリー残量 /ケイデンス/ペダリングパワーメーター/消費カロリー/時計/オドメーター(走行距離)の表示を切り替えて利用します。
さらにコンパクトマルチファンクションメーターにはmicroUSB端子(microBタイプ、USB 2.0対応)が設けられており、両方ともオスのmicroUSBケーブルやUSB変換コネクターがあれば、スマートフォンなどへの給電が可能です。スマホをナビ代わりにする人にはとても便利。とはいえ、走行中のスマホ操作は「ながら運転」になりますので注意しましょう。ほかにもBluetooth通信に対応しているのですが、国内では専用アプリが用意されていないとのこと。あくまで自己責任になりますが、アプリによっては走行データなどのログをとることができるようです。
ブレーキもシマノ製で、油圧式ディスクブレーキを採用。油圧式ディスクブレーキは、一般的なリムブレーキに比べて重たくなる半面、ブレーキの引きが軽いだけでなく、長い下り坂や雨の日でも確実なストッピングパワーを得ることができます。
フロントサスペンションを採用し、減衰力の調整も可能。段差や荒れた道でも快適な乗り心地が得られます。
そのほか、タイヤには泥除けがついているほか、後輪にはキャリアも用意されているので、長距離ツーリングにも対応。さらにコンパクトマルチファンクションメーターで点灯可能な、バッテリーから給電されるLEDヘッドライトも取り付けられて夜道でも安心です。見ればみるほど細かい部分までこだわって作られた1台といえそうです。