武闘派スバル女子が「WRX S4 STI」の2モデルを乗り比べ! 軍配はどちらに!?
2020年12月12日 12時00分更新
WRX STIが昨年の終売に伴い、SUBARUの硬派なスポーツセダンはWRX S4となりました。そこで武闘派スバリストの今泉あやさんに、「STI Sport EyeSight」(416万9000円)と、500台限定で既に販売終了している「WRX S4 STI Sport♯」(474万1000円)の2台を試乗してもらい、このモデルの魅力を語ってもらいます。
運動性能と安全性を突き詰めて両立!
「WRX S4 STI Sport EyeSight」
現行のWRX S4が登場したのは2014年8月のこと。WRXの名は、もともとインプレッサのスポーツバージョンに与えられたグレード名でした。ですが、3代目インプレッサのマイナーチェンジ時にインプレッサの名前が外れてWRX STIと単独名に。その際、STIのほかに裾野を広げる国内専用車としてWRX S4が設定されました。
WRX STIとWRX S4の大まかな違いはパワートレイン。STIがEJ20型エンジンとマニュアルトランスミッションの組み合わせに対し、S4はFA20型エンジン搭載のCVTミッション。四駆の制御方式も異なります。エンジンは2リットル水平対向4気筒にツインスクロールターボの組み合わせ。最高出力300ps/5600rpm、最大トルク40.8kgf・m/2000-4800rpmと力強い動力性能を有します。エンジンの真上にインタークーラーを配するのは、SUBARUの伝統といったところ。ガソリンはハイオク指定で燃料タンクの容量は60リットル。WLTCモードで11.2km/リットルという燃費を誇ります。
WRX S4はほぼ毎年、何かしらの改良や変更を受けているモデル。直近では2020年7月に変更が行われました。今回の変更では、従来の「GT」「GT-S」グレードを廃止してSUBARUの「動的質感」と「静的質感」を高めたという最上級グレードSTI Sports EyeSightグレードに一本化。またWLTCモード燃費表記に対応しました。
ボディーは同社スポーツワゴンのレヴォーグとほぼ同等のサイズ。ボンネットのエアインテークがSUBARUらしさを印象付けています。STIエンブレム付サイドガーニッシュ、黒いトランクリップスポイラー、そして11本スポークのダークメタリックの18インチアルミホイールが、ボディーをきりっと引き締めます。
ミッションはスポーツリニアトロニックと呼ぶスポーツCVT。Dレンジでの走行中、ステアリングホイールの右側にあるSI-DRIVE「I」または「S」を選択時、アクセルを一定以上に踏み込むと、無段変速からスポーティな感覚を味わえるオートステップ切り替え制御。「S♯」選択時は8速クロスレシオのステップ変速制御とすることで、MT車のようなスポーティな加速とダイレクトな変速が愉しめます。多くのメーカーがスポーツモード切替をシフトレバー近傍に置く中、ステアリングホイール側に配置したのは使いやすくてイイと思います。
サスペンションはフロントがストラット式独立懸架、リアがダブルウィッシュボーン式独立懸架という組み合わせ。ビルシュタイン製ダンパーと相まって高い運動性能を約束しています。
インテリアはボルドーとブラックの組み合わせがオシャレ。シートはレカロ製で、レッドステッチとウルトラスエードの肌触りがスポーツ感と心地よさを両立させています。
インパネ周りを見ると、2つの指針式メーターの間にディスプレーが。前出のドライブモード切替をはじめとして、様々なインフォメーションが映し出されます。オプションのナビはパナソニック製。時折GPS精度に難を感じることもありましたが、総じて使いやすい印象を受けました。エアコンダクトを置いて上部にもインフォメーションディスプレーが設置されており、ナビ起動時には交差点の指示が表示されます。USBは1系統。面白いのはminiHDMI入力がケーブル付きで用意されていることです。
ステアリングホイールはスムースレザー製。国産車によくある左側に電話やオーディオ系操作、右側にクルーズコントロール系などを配置するレイアウト。クルーズコントロール系はハンドル支援と車間距離設定を独立して設定するタイプ。クルーズコントロールのボタンが握り手側に近く、それでいて小さいため押しづらく感じました。できればハンドル支援ボタンと位置を入れ替えてほしいです。
天井を見ると、車線逸脱警報などの設定スイッチを発見。この手のスイッチは、大抵運転席右側に置かれることが多いので、ちょっと驚きました。
リアシートもボルドーとブラックスエードの組み合わせ。運転席側ほどドアが大きく開かず、サイドシルが立っているためお年寄りが乗り降りする際は、ちょっと不満が出るかもしれません。ですが座ってしまえば、ミドルサイズセダンとしては足元が広くて快適です。
驚くべきは、ラゲッジスペースの奥行きの深さ。460リットルの大容量で、ゴルフバッグが4つ収納できるとか。さらに後席を倒せば収納力はアップ。この容積は、さすがツーリングワゴンの先駆者といったところでしょうか。
レヴォーグ乗りの武闘派スバリスト、今泉さんにステアリングを託して走行してもらいました。WRX S4の試乗経験はあるそうですが、STI Sportsは初めて。「結構ハンドルが重たいんですね。そのためか、しっかり感がとても強いです。足もセダンと思うとシッカリ硬め。とても私の好みです」とさすが武闘派。水平対向ボクサーエンジンも「とてもトルクフルで、どこからでも加速する感じ。しかもスムースなところが印象に残りました」と、こちらも「WRX S4のSTI Sports、とてもイイです!」と太鼓判。「オトナのスポーツセダンという印象を受けました。ヤンチャさとは異なるオトナの余裕みたいなところが、このクルマにはありますね」と好印象だったようです。
この連載の記事
-
第483回
自動車
【ミニバン売れ筋対決】ホンダ「フリード」とトヨタ「シエンタ」の良いところと微妙なところ -
第482回
自動車
これがBMWの未来! フラッグシップEVの「iX」は乗り心地良すぎで動くファーストクラス -
第481回
自動車
アルファ・ロメオのハイブリッドSUV「トナーレ」はキビキビ走って良い意味で「らしく」ない -
第480回
自動車
独特なデザインが目立つルノーのクーペSUV「アルカナ E-TECH エンジニアード」はアイドルも納得の走り -
第479回
自動車
レクサスのエントリーSUV「LBX」は細部の徹底作り込みで高級ブランドの世界観を体現した -
第478回
自動車
レクサスの高級オープン「LC500 コンバーチブル」は快適さのその先を教えてくれる -
第477回
自動車
BMWの都市型SUV「X4」は直6エンジンならではのパワフルな走りがキモチイイ! -
第476回
自動車
最新のマツダ「ロードスター」は乗った誰もが乗り換えを検討するレベルのデキの良さ -
第475回
自動車
EV=無個性ではない! BMWのEV「iX3」は剛性ボディーが魅力のミドルサイズSUV -
第474回
自動車
ルノーのコンパクトカー「ルーテシア E-TECH エンジニアード」は軽量でパワフルでスポーティー! -
第473回
自動車
ホンダの大人気ミニバン「FREED」に乗ってわかった5つの良くなったポイント - この連載の一覧へ